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瓦礫の下の子犬達
第二章

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「俺達が何とかしてやろう」
「あの山火事から子犬達を守ったんだ」
「それだったらな」
「俺達が助けてやろう」
「母犬の愛情に応えてな」
 こう話してだった。
 彼等は九匹の子犬達を保護した、どの子も生後二週間位だった。
 そして親、雌なので母犬も保護した、母犬は黒犬なのでブラッキーと名付けられた。
 ブラッキーと子犬達は消防署に保護されてご飯と水を与えられて。
 そうして獣医にも診てもらってだった。
 それぞれ里親を探すことになったが。
「もう大丈夫だぞ」
「安心してくれよ」
「お前達皆幸せになるからな」
「いい人達に家族に迎えられるぞ」
「だから安心しろよ」
「ワンッ」
 犬達は尻尾を振って応えた、そしてだった。
 彼等はそれぞれ心ある人に家族に迎えられた、ブラッキーもその中にいて。
 優しい人に迎えられた、それからは彼等は時々それぞれの家で再会することもあり幸せに暮らした。
 このことを聞いて署員達は話した。
「立派な母犬だからな」
「ああ、山火事から子供達を守ってな」
「周りに火があっても離れなくてな」
「生きものは火を怖がるのにな」
 それでもというのだ。
「ああして頑張ってな」
「ずっとそこにいたからな」
「怖くても逃げなかったんだ」
「ずっと子供達を守っていたんだ」
「そんなの人間でもそうは出来ないぞ」
「子供を見捨てて逃げる親だっているぞ」
「そんな屑もいるぞ」
 人間の中にもというのだ。
「けれどな」
「そんなことしないでな」
「それで子供達を守ったんだ」
「それだったな」
「俺達もそれに応えないとな」
「子供への愛情にな」
「そしてそうしてよかった」
 彼等は満足感と共にこうも言った。
「本当にな」
「若しあの時あいつ等を無視していたら」
「命を放っておいたらな」
「もう消防署員じゃない」
「俺達の仕事は命を救うことだ」
 火を消してそうしてだ。
「それなら当然のことだ」
「それが出来てよかった」
「そうすることを決意してな」
「これからもやってこな」
「そうしよな」
 彼等はこう話した、そして里親のところで幸せに暮らしているブラッキーや子犬達を見ると。
 皆元気だった、子犬達はすっかり大きくなっている、彼等は消防署員達を見るといつも尻尾を振った。山火事を生き抜いた彼等はもう一つの幸運を得ていた。


瓦礫の下の子犬達   完


               2021・4・18
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