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瓦礫の下の子犬達
第一章

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                瓦礫の下の子犬達  
 チリのバルバライソでのことだ。
 山火事が起こった、消防署員達はすぐに現場に向かった。
「街でも厄介だがな」
「山でも火事は起こって欲しくないな」
「木は燃えて生きものは死ぬ」
「最悪の環境破壊の一つだからな」
「だからすぐに消すぞ」
 その山火事の火をというのだ。
「そうしないとな」
「ああ、少しでも早く火を消すんだ」
「そうするぞ」
 現場に急行しながら話してだ、現場に着くとだった。
 彼等はすぐに消火活動に当たった、幸いそれは順調だったが。
 その中で彼等は一匹の犬を見た。
「何だあの犬」
「随分必死だな」
「必死に瓦礫を上に置いてるな」
「どうしたんだ?」
 その黒い垂れ耳の大型犬を見てだった。
 消防署員達は首を傾げさせた、だが今はだった。
「まあとにかくな」
「あの犬はもう安全な場所にいるしな」
「今は消火を優先だ」
「火を消すぞ」
「そうするぞ」
 そちらを優先させた、そしてだった。
 実際に火を消した、山火事は彼等の活躍もあり被害は最低限で済んだ。これで仕事は終わったがここでだった。
 彼等はその犬に視線を戻した、その犬は。
「まだあそこにいるな」
「ずっと瓦礫のところにいるな」
「あそこに何があるんだ?」
「何かあるのか?」
「おい、ちょっといいか?」
 署員の一人が犬に声をかけた。
「そこに行っていいか?」
「ワン」
 犬は彼等に悪意がないことがわかったのかだった。
 威嚇することもなく彼等を迎えた、署員達はそれを受けてだった。
 彼等は瓦礫をどけてその場を見た、すると。
「ワン」
「ワンワン」
「クゥ〜〜ン」
「子犬か」
 彼等は瓦礫の下の穴にあった子犬達を見て目を丸くさせた、そのうえで言った。
「随分多いな」
「九匹いるな」
「この犬の子供か」
「そうなんだな」
「ワンッワンッ」
 母犬と思われる犬はここでだった。  
 署員達にすがる様な目で鳴いてきた、それでだった。
 署員達はお互いに顔を見合わせて話した。
「助けて欲しいんだな」
「自分の子供達を」
「どうやら穴を掘ってな」
「そこに子供達を全部入れたんだ」
「そして瓦礫を置いて火を防いだか」
「傍にずっといたのは火が来るかどうか警戒していたんだな」
「だったらな」
 その犬そして子犬達も見て話した。
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