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俺様勇者と武闘家日記
第1部
第1部 閑話
閑話1・値切り交渉
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リの熱弁に、おじさんは声を詰まらせた。それを見逃さず、さらに畳み掛ける勇者。
「本当はこんな場所で言うべきではないのだが、お前には知ってほしい。実は俺はアリアハン王からの命を受けた勇者だ。もし俺たちが魔物に殺されたら、永遠にこの世界は魔王に支配されたままになってしまうんだぞ? それでもいいのか?」
「い、いいえ!! まさかあなた様があの有名な英雄オルテガの意志を受け継ぎし勇者様だとは、露ほども存じ上げず、申し訳ございませんでした! あなた様方にはぜひとも特別価格の2割引でご提供します!!」
 勇者だと知ったおじさんは、先ほどとは打って変わった態度で大量の薬草を私たちの前に差し出した。
 だが、ユウリはなぜか納得いかない顔でおじさんにさらに言い募る。
「お前人の話を聞いてなかったのか? 俺が今までかかわった道具屋の主人は皆定価の8割引で売ってくれたぞ?」
「そ、そんな……。これでも破格の値段なんですよ? ただでさえこの辺りは薬草の仕入れがままならなくて……」
「それはさっき聞いた。お前こそ、俺たちが戦いにおいていかに薬草を重視しているのかわからないのか? 重視している、すなわちそれだけ量が必要だということだ。お前は世界を滅ぼされたいのか?」
「しかし、それとこれとは別の話でして、こっちは今の生活を最重要視してるんですよ。勇者様こそ魔物を倒し続けてきて相当お強いんでしょう? だとすればそれだけお金も稼いでいるはずですよ」
 鋭いところを突かれ、ユウリはわずかに眉根を寄せる。だがすぐにもとの表情に戻り、
「確かに俺たちは相当の数の魔物を倒してきた。だが魔物を倒すには技術や経験だけではない。より強力な武器や防具も必要になってくる。それが強ければ強いほど、高価になってくるんだ。商人のお前ならわかるだろ」
 体勢を立て直し、おじさんに反撃することに成功した。おじさんはにこにこしながらも、目はあまり笑っていない。
 私はこの二人のやり取りを、ただ呆然と眺めるしかなかった。
 すると、今まで別行動をしていたシーラが陽気なステップを踏みながら道具屋にやってきた。
「あー、ミオちんたち、やっと見つけた! もおー、ずっと探してたんだからね!!」
 見るとシーラの腕に抱えているのは、大きな皮袋。ちらりと見える黄金色の輝きは紛れもなく金貨だ。
「すごいねシーラ! またこんなに稼いできたの!?」
「そーだよー♪ ミオちんにも後で分け前あげるね☆」
 私が感動すると、シーラはふふんと鼻を鳴らし、得意げに金貨の入った袋を私に見せびらかした。
 その袋は当然ユウリの目にも入っているはずなのだが、なぜか彼は不機嫌な顔をしている。
「昨日はユウリちんに3000Gあげたから、今日は2000Gね♪」
 シーラがご機嫌な様子でユウリに皮袋を渡そうとするが、ユウ
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