第二章
[8]前話
「もう一度トンビを学校に連れて行くよ」
「そうしてよね」
「子供達もトンビがいなくなって寂しがってるし」
それでというのだ。
「それじゃあな」
「獣医さんに診せたら狂犬病なんてないし」
「噛んだり引っ掻いたりもしない娘だしな」
「もう一度学校にね」
こう話してだった。
先生は校長に直訴して子供達の親にも説明してだった。
もう一度トンビを学校に連れて行った、すると。
「トンビお帰り」
「また一緒にいようね」
「一緒に遊ぼうね」
「ニャ〜〜〜」
子供達はトンビを笑顔で迎えてだった、トンビも明るく鳴いて応えた。そうして学校に戻ったトンビは見る見る元気さを取り戻し。
子供達の成績も日常生活の態度はトンビがいない時と比べてよかった、それで先生は妻にこう言った。
「トンビにとってもよかったし」
「子供達にもなのね」
「いいんだ、猫がいるだけで」
たったそれだけでというのだ。
「成績も生活もよくなるなんてな」
「不思議ね」
「アニマルヒーリングかもな、そしてトンビも元気になるから」
「誰にとってもいいわね」
「そうだね、じゃあこれからも」
夫は妻に話した。
「トンビを学校に連れて行くよ、それでイスミルの上の方でもこのことが話題になって」
「それでなの」
「猫と教育について言われているから」
「猫がいつも学校にいる様になの」
「なるかもね」
「そうなのね」
「猫はムハンマドも大事にしていたし」
イスラム教、トルコの宗教でもあるこの宗教を開いた彼もというのだ。
「コーランにも大事にしろと書いてある」
「だったら大事にして悪いことはないわね」
「ああ、トンビがいてそうなったことは事実だしな」
クラスの子供達がそうなったことはというのだ。
「だったらな」
「これからも」
「学校に連れて行くよ」
「ええ、そして家でもね」
「大事にしていこう」
「そうしましょう」
夫婦で話した、そうしてだった。
トンビは学校に行って子供達と遊び上機嫌になり彼等もよくなっていった。そうして先生夫婦も含めて誰もが幸せになった。トルコに実際にあった話である。
猫のいるクラス 完
2021・4・16
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