バイトの話
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して…」
「絶対に!!!!!!嫌です!!!!!」
店長さんからも許可をいただいた。
どうなってるんだこのお店…。
「なーんだ。ぱんつは女物じゃねぇのかい。」
「めくらないでよ!!!」
相変わらずちょっかいをかけるお栄ちゃん。
バイトが終わるまでは約一時間。
普通に考えればそこまで長い時間ではないけれども、
今日の僕にとってそれは苦痛の時間だったし、たった1時間でも無限のように感じられた。
?
それから、
バイトは終わり、帰路に着く僕。
「つかれた…。」
自転車を押してとぼとぼと歩き、本日何度目かもう分からないため息をつく。
「見たかいマイ。最後の客、お前さんが男なんて気づいてなかったナァ!」
そして隣を歩くのは、僕とは対照的にウキウキして嬉しそうなお栄ちゃん。
そう、バレなかった。
大してメイクとかそんなものもしてなかったのに、お店が閉まるまでの間事情を知る物以外には僕が男なんてバレなかったんだ。
「うん…そうだね。」
「なぁにしょぼくれてんだい。おれァ褒めてんだ。」
女装が似合うね、なんて褒め方されても嬉しくないよ。
「にしてもあの先輩…たどちゃんだったか。」
「…?」
「面白い人だ。おれと話も合うし今度また来ようかと思う。」
「やめてよ。」
お栄ちゃんと仲良くなれる人がいた、というのは予想外だった。
それもよりによって先輩と来た。
僕としては嬉しいような寂しいような複雑な感情だけれど…でも一番に言いたいのは
「もう来ないでね。」
「なんでだい?」
「絶対にちょっかいだすでしょ。先輩と一緒に。」
もう来ないで欲しい。
バイトのたびに今日みたいなことがあるなんて考えたくもない。
それに、
「どうしてだい?おれまたマイの女装姿が見たくてナ。今度一枚描こうと思ってるんだが」
「描かなくていいよ!それにもう絶対しないから!!」
「そういや先輩、この制服いらないですってマイの前のやつ店長に返してたぞ。」
「うそ…でしょ?」
「冗談だヨ?」
そう言ってお栄ちゃんは豪快に笑うが僕はそれどころじゃない。
そんなことが本当だったら僕はバイトで羞恥プレイを強いられるようなものだから。
「よーし、帰ってせっくすだ。今日は何がいい?」
「お尻以外ならなんでも…って、あれ?」
いつもの話をしながら、僕とお栄ちゃんは歩いていた。
しかしそこに、奇妙なものが現れる。
「人…?」
人がいた。
まるで僕等の行くてを阻むようにして、仁王立ちで立っている。
何よりもおかしいのが…
「お栄ちゃん…何かあの人おかしいよ。」
「ああ。鎧来て歩く傾奇者がいるみてぇだナ。」
鎧、その全身に甲冑を纏っ
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