バイトの話
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は友作くんの「本当にすいません」という声。
おそらく止めてくれたんだろうけど、だめだったみたい。
で、お栄ちゃんの視線は僕から隣りの先輩に移ると
「で、マイ。そこの馴れ馴れしい女、誰だい?」
「お、私?あーごめんごめん。別に彼氏とるつもりはないんだよ!」
冷たい視線に変わる。
先輩は笑いながら大袈裟にどくリアクションをするも、お栄ちゃんの顔は不機嫌なままだ。
「いやいやどうも。私この喫茶店での少年の保護者をやっております、田所って者です。以後お見知り置きをー。」
「…。」
お栄ちゃんの手を掴み、深々と頭を下げながら握手する先輩。
いやそれでもダメだ。
お栄ちゃんの機嫌はまだ悪い。
「ところで彼女さん!」
「あ?」
「少年のどこが好きになったんです?チャームポイントは?」
「えっ、せせせせせ先輩!?」
「…。」
だめだ!
もとよりこの人お栄ちゃんの機嫌が悪いのをわかってない!
脳裏に浮かぶのは、お栄ちゃんにボコボコされた桐生。
このままでは先輩もあんな風に…!
「犬っぽいとこ。」
「…へ?」
焦る僕、
難しい顔のお栄ちゃんはそう答えた。
「可愛げがあって、ときおりいじめたくなる。ちょっかいを出してやると反応も可愛くてな。益々からかってやりたくなる。」
「…へー。」
うんうんうんと頷きながら納得する先輩。
そして僕の方を向くと。
「うん。やっぱり犬だよ。少年。」
「えっ」
とだけ言った。
「私の言うこときちんと聞くし、なにか出来たらもの欲しそうな目で私を見る。」
「な、なんですかもの欲しそうな目って。」
「犬みたいに頭撫でてやると可愛いんだなこれが。嫌がってるフリして満更でもない顔するんだ、少年。」
「やっぱりそうかい?」
やっぱりってなんだ、やっぱりって。
「彼女さんもそう思います?」
「おうともサ。前々からマイは犬っぽいって感じてたからナ。マイの先輩のアンタもそうなんだろう?」
「あ、たどちゃんでいいです。」
おかしい。
さっきまで流れていた険悪なムードは消え失せ、いつの間にか同じ意見で気が合い、意気投合している二人が。
そして気がつけば…
「たまにマイも男らしくてナ。なよなよしているかと思ったら言いたいことはキチンと言う。」
「そっかぁ…最近少年がほんのちょっぴり明るくなったのは彼女さんのおかげなんだねぇ。」
お客は少なくなり、テーブルを挟んで仲良く離すお栄ちゃんと田所先輩。
「おい…葛城。」
「…。」
「あれどうなってる?なんで田所さんと北斎があんな仲良く話してんだ。」
「ぼくもわからない。」
ともかく、ボクが考えうる最悪の展開にはならなくて済んだ。
「おーいしょうねーん
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