バイトの話
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ないようにしながら気をつけつつなんとかうまくやっていく。
そうしてやっていき、外も暗くなってきた頃。
「…?」
何か、視線を感じた。
「あれって…?」
入口のガラス戸に目をやると、そこで誰かが中をじっと見つめている。
いや違う。お店の中を見てるんじゃない。
あの子は…僕を見ている?
距離も遠く、そして外は暗いため顔は分からない。
ただその子は学校の制服を着ているのだけれど…
「あれ…うちの制服だよね…?」
着用している制服。
それは僕が通う螺歩蔵第一高校の制服だった。
こんな隣町に何の用だろう…?入らないのかな…?と疑問を抱いたけれどお客さんに呼ばれてしまいその子の正体と目的を突き止めることは出来なかった。
その子は気がついたらもう居なかったし、なんだか少し不気味な感じがした。
さて、
「そろそろ来る頃かな?」
時刻は八時過ぎ。
店の様子もだいぶ落ち着いてきた頃、この時間帯には決まって友作くんとキルケーがご飯を食べに来る。
お客さんの帰ったテーブルを綺麗にし、洗い終わったグラスを吹きながら待っていると
「お、友作が来たよ少年。」
ドアの開閉を知らせるベルの音。
このくらいの時間に来るお客さんは大体友作くんだということは先輩も知っている。
ちなみに友作くん、ここで働いてた頃は元々ホールだったけど、人手が足りない時に臨時として厨房に入り、器用なこともあってそのまま厨房に移ったんだって。
さて、メニューとおしぼりを持って入口まで行くと、そこには友作くんとキルケーが。
しかし、様子がおかしい。
友作くんは何か難しい顔をしてるし、キルケーにいたってはなぜか申し訳なさそうな顔をしている。
どうしたんだろうと疑問に思ったけど、それはすぐに解決した。
そしてそれは、僕にとっても非常に問題のあるものだった。
「いらっしゃいま…」
来客は友作くんとキルケーの二名様、
ではなく今日は三名様であった。
2人の後ろからやってきた人、
それは
「ほぉ、マイはこんなとこで働いてんのかい?にしても笑顔が眩しいじゃないか。」
「」
キルケーが、申し訳なさそうに頭を下げる。
「ごめん。でかけようとしたところに来たんだ。それでマスターがうっかり口を滑らせて…。」
「悪い。バラすつもりはなかった。」
絶対に来て欲しくなかった人が、そこにいる。
来たら困る人が、そこでニヤニヤしながら立っている。
「ほらマイ。お客様だ。いつまでもぼうっと突っ立ってねぇで案内しとくれヨ。」
お栄ちゃんが、
お栄ちゃんがそこにいた。
?
キルケーと友作くんとは、ある約束をしていた。
それは、お栄ちゃんに僕のバイト先を聞かれても絶対に黙っているこ
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