バイトの話
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したいと相談したらここを紹介してくれた。
駅の近くにあるため多くの利用客がおり、特に夕方辺りは平日でもうんと忙しくなる。
僕はスタッフさんや同じアルバイトの人達に挨拶を済ませ、更衣室へと小走りで向かって急いで着替えた。
「…よし。」
ネクタイをしめ、更衣室に備え付けられている姿見で身だしなみを確認する。
青を基調とした、シックでかっこいいウェイターの服。
よく女の子みたいだとか言われるけど、こうしている間だけ僕はかっこよくしていられる気がする。
さぁ、これから忙しくなるんだ。急がないと…!
「おはようございます。」
「お、葛城くんおはよう!」
この喫茶店の店長、野中さんに挨拶を済ませ、僕はタイムカードを切っていざ出勤。
夕方のこの時間、学生やら社会人やらでどんどんテーブルが埋まりつつある。
よし、今日も頑張るぞと深呼吸すると、
「よう少年!私に挨拶はナシかい!?」
「!!」
背中をバシッと叩かれ、吸い込んだ空気が強引に吐き出される。
うるさいくらい元気な声、そしてこんな挨拶をするのは喫茶店にて一人しかいない。
「せ、先輩…おはようございます。」
「おはよ。今日も忙しくなるけど頑張ろうね!」
コックコートに身を包み、身長177cmの僕よりも背が高いこの女性の名前は田所 浩美さん。
この喫茶店には少し前からいるらしく、厨房を任されるくらいには仕事が出来るし料理上手。
僕はそんな彼女にお世話になりっぱなしなので、敬意を込めて先輩と呼び慕っている。
「ほーらネクタイ曲がっとんぞ少年。」
「あっ、」
姿見で確認はしたもののネクタイが曲がっていた様子。
田所先輩はしゅるりとネクタイを外すと、慣れた手つきで僕のネクタイを締め直してくれた。
「あ、ありがとうございます…。」
「どうってことないさ!ほら!今日も頑張ってこーい!」
くるりと回され、肩をトントンと叩かれ最後に背中を軽く押される。
引っ込み思案で根暗な僕にとって、こうやって明るくてグイグイ引っ張ってくれる田所先輩は何よりの救いだ。
この人がいてくれたからこそ、ここまでやってこれたというものもある。
よし、今日も頑張らないと…!
「うわぁ…すごいな…。」
ホールに出てみればまだ夕方だというのに殆どの机がうまっており、僕と同じ学生のアルバイトさんは立て続けにやって来るお客さんのメニューを聞いたりと対応に追われている。
「ここが正念場だ…よし!」
ぺしぺしと両の頬を叩き、歩き出す。
別のスタッフさんを休憩に入れ、入れ替わる形でやってきた僕。
元気よく挨拶をし、お客さんのオーダーを聞き、田所先輩達が作ったものを迅速に運ぶ。
途中コケたりはこんでいるものを落とさ
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