最終章:無限の可能性
第290話「イリスの本心」
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ち着ける。
「……そろそろ時間ですね」
「え……?」
その時、欠片のイリスの体が淡く光り、薄くなり始める。
「消滅光……どうして……?」
「当然です。私は貴女の“領域”の欠片。貴女の“領域”の中であるここに居続ければ、こうして一つに戻ろうとするのは決まっていた事です」
“領域”は元々一つで、その“領域”が欠けていた状態だ。
その破片が見つかったのなら、欠けた部分を埋めようとするのも当然だ。
「こうして貴女に気づいてもらえたなら、抵抗する理由はありません。彼らのように別の存在として分かたれたならともかく、私達は元々一つ。こう在るべきです」
「………」
欠片のイリスは、再び一つに統合される事に抵抗はない。
否、本体のイリスもそれは同じだ。
優輝と優奈の二人とは違い、イリスは完全な同一存在。
元に戻るだけなのだから、何も悔やむ事はなかった。
「ふふ、覚悟だけはしてくださいね。私と貴女で、彼への想いは膨れ上がりますよ?」
「えっ、それは……!?」
最後に爆弾発言だけ残し、欠片のイリスは元のイリスへと還元されていった。
そして、本体のイリスは言葉の意味を頭より早く、感情で理解した。
「ッ……!」
噴水のように、優輝への想いが溢れかえる。
元々本心では好いていた相手だ。
そこに加え、欠片のイリスが抱いていた純粋な恋心が加わる。
「は、ぁ……!」
“好き”という単語が頭の中で繰り返される。
動物で例えるならば、まるで発情したように顔を上気させていた。
「さ、最後の最後に、なんてモノを残していくんですか……!」
人間らしい恋とはいえ、その身は人を超越した存在だ。
何とか溢れる感情を抑え、今はいないもう一人の自分に憤った。
「でも、嫌じゃないでしょう?」
「ッ―――!」
ふと、自分しか存在出来ないはずの空間に声が響く。
この空間に存在出来るのは、イリスかイリス自身が許した相手だけだ。
「……貴女は……」
「またもや、おいしい所は彼に持っていかれましたね」
唯一、例外として対となる神は干渉出来る。
アリス・アレティ。イリスの対となる“光の性質”の神がそこにいた。
「直接会うのはこれが初めてですね、イリス・エラトマ。前回も今回も、終ぞ直接見える事はありませんでしたし」
「……い、いつから見てたんですか」
イリスの問いに、アリスはわざとらしく首を傾げ考えこみ……
「“領域”の欠片の方の貴女が話しかけた時から、でしょうか?」
「ほぼ最初からじゃないですかっ!」
顔を真っ赤にしてイリスはアリスに激昂する。
自分の本心
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