最終章:無限の可能性
第290話「イリスの本心」
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そんなユウキの姿に強く惹かれた。
だから、封印されてからずっと執着していた。
「その時点で、貴女は“性質”に縛られない生き方が出来たんですよ」
「っ……」
正論だ。まったくもって正論過ぎた。
イリス自身、それを自覚していたが故に、何も言えない。
「ただ人のように恋する。誰かを愛する。……その事を貴女は“たったそれだけ”と言ったようですが……私にとっては、むしろ貴女に向けた言葉ですね」
「それは、どういう……」
「貴女は、それがどういった感情か明確に自覚する前に、彼に強く執着して今回の事を引き起こしたのでしょう?」
そう。どちらのイリスも根本は変わらない。
欠片のイリスは恋したが故に優輝を助ける行動を起こした。
対し、イリスもユウキに対する感情に突き動かされ、執念のままに行動した。
一つの“想い”で行動を起こした事に、なんら変わりはない。
「彼に対する執着が過ぎた故に、神界を巻き込んだんです。……それに比べれば、彼を手助けした私の動機程度……ねぇ?」
「ぅ……」
封印の中でも、イリスは意識があった。
ユウキに魅せられたが故に、どんなに絶体絶命であろうとも足掻き、そして逆転しようとする“可能性”を見ようと躍起になって行った。
その結果が、今回の神界での戦いだ。
それと比べれば、欠片のイリスが手助けした事ぐらい、大した事はないだろう。
「さて、ここまで話しましたが……貴女は、彼の事をどう思っているのですか?」
「……それ、は……」
“どう思っているのだろう?”。そうイリスはふと引っ掛かった。
ここまで、ユウキに対して異様なまでに執着していた。
その根源たる“想い”は一体どんなモノだったのだろうかと。
今まで考えようとも思わなかったがために、すぐに答えを出せなかった。
「(愛しい?憎い?憧れ?嫌悪?……愛憎が入り乱れ、て―――)」
ぐちゃぐちゃと、自分で自分の感情が分からなくなる。
しかし、だからこそ執着していたのだと、どこか納得していた。
「私は貴女で、貴女は私です。……どう思っているかなんて、答えはわかり切っているでしょう?」
「―――あ」
ユウキについて考える度、心が締め付けられた。
何度も悩まされた。行動を理解しようとした。もっと見ていたいと思った。
それらをひっくるめれば……答えは自ずと出てくる。
「……そう、そうでした、ね。私も、ずっと……」
“恋している”。
その先を言わずとも、どちらのイリスもわかっていた。
「……だから、同じ私でも貴女の存在が許せなかった。だって、同じ“領域”と“性質”だとしても、恋敵なんですから……」
「欠片の私を別人と捉えてい
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