始まりから夏休みまで
兄がやってくる話
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潰しと一緒。
ゴッホって人は知ってる?ああなりたいの?
絵を描くのは
絵を描くのは
絵を描くのは
絵を描くのは
絵を描くのは
…
だめだなぁ…僕。
あんな家が嫌だから出ていったのに、変わりたいって思ってたのに、未だにその家に縛られ、変わらないままだ。
兄ばかり贔屓する両親。
僕を冷たい目で見る母さん。
僕をいないもののように扱う父さん。
そして、僕を道具のようにこき使う…兄さん。
自由になるよりも、あのままの方がそれはそれで生きやすかったのかな。
「バカみたいだ…僕。」
「いや、お前はバカそのものだ。」
抱えた頭をとっさに上げる。
誰の声がした?いや誰とかじゃない。この声は聞いたことのある声。
二度と耳に入れたくないと思ってた、最低な声。
顔を上げるとそこには、二度と見たくはなかったあいつの顔。
噂をすれば影っていうのは本当みたいだ。
目の前にいたのはそう、紛うことなき
「やっと見つけた。さぁ、家に帰るぞ。」
兄だ。
「…っ!!」
子供の頃からの思い出が、ぞわっと溢れ出てくる。
今まで断片的だったものが、丸ごと一気に頭の中に思い出されてくる。とっさに立ち上がり、再び逃げようとする僕だが
「逃げんじゃねぇ!!!」
手首をつかまれ、ぐいと引き戻された。
「もう二度と逃がさねぇぞ。お前は俺の弟。兄に尽くすのが弟の役目。ママもそう言ってたろ?」
「…。」
「そうですって言え!!日本語わかんねぇのかてめぇ!!!」
手を上げる兄。
僕は反射的に頭を抑え、そうですそうです。間違っていたのは僕ですと答える。
そうするしかない。反抗なんて許されない。
だって僕は、彼の弟なのだから。
「どうして…なんで…!」
あの家から僕は逃げた。
両親も僕がいないことを望んでいたし、何より兄から逃げたかった。
逃げたかったのに、逃げきれたのに、
どうして今目の前にいる?
「どうして?当たり前だろ。弟としての役目を放棄したてめぇを連れ戻しに来たんだよ。」
「…?」
「馬鹿なお前には分かんねぇだろうけどな、エリートの俺は日々ストレスたまってんだよ。それなのに発散させる奴も、財布になるやつもいねぇ。だからこっちはイライラしまくって勉強がうまくいってねぇんだ。わかるか?あ?」
僕の兄は、いわゆるエリートだ。
僕と違って成績優秀で、優秀な高校に行き、それでテストとかでも一位を独占し続けてきた。
いずれ医学の道へ進み、医者である父さんが持っている病院を継ぐことだって約束されていた。
そう、紛うことなきエリート。
僕と違い天才で、誰もが羨む。
それが僕の兄、葛城 恋だ。
「でも僕は…!」
「長男に逆らうんじゃねぇ!!
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