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魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
最終章:無限の可能性
第289話「無限の可能性」
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の攻撃は通じず、緋雪は歯噛みする。

「どうやって突破するの?お兄ちゃん達に聞いてきたんでしょ?」

「……攻撃を命中させた上で、突き破るまで“意志”をぶつけ続けるだけだよ」

 緋雪に尋ねられ、司は僅かに思考を挟み、敢えて全ては伝えなかった。
 理由は単純だ。行動でイリスに作戦を悟られないためだ。

「そういう事だ」

 そして、それは優輝と優奈も賛成だった。
 転移まで追い込むその時まで、二人も攻撃に参加する。
 






「くっ……!」

 猛攻が繰り返され、ついにその時は訪れる。
 優輝と優奈、そして葵による武器がいくつも投擲され、それに紛れるように葵本人と奏が連撃を繰り出す。
 それが弾かれる瞬間を狙い、神夜が“意志”の剣で斬りかかる。
 僅かな拮抗の後、神夜が弾かれ、すぐさま司の魔力弾と砲撃魔法が炸裂する。
 加え、緋雪が斬りかかり、帝が障壁を破らんと突貫した。

「ぐ、ぉおおおおおおおおおおッ!!」

 物理的な強さであれば最も強い帝による突貫。
 理に適ってはいる。だが、ただ破るだけには猶予が足りない。
 それを示すように、イリスが転移で逃げる。

「ッ―――!?」

「掛かったわね!!」

 そこを、優奈が狙い撃った。
 “意志”による拘束で、転移を封じる。

「まさか、これを狙って……!」

「その通りよ。皆!!」

 優奈の呼びかけに、全員が思考を切り替える。
 ダメ押しとばかりに、霊術や魔法による拘束を加え、さらに身動きを封じた。

「優輝!」

「ああ……!」

   ―――“貫け、可能性の意志よ(デュナミス・ブーレーシス)

 魔力と霊力、そして“意志”が圧縮される。
 そして、その全てをリヒトが吸収し、優輝は一筋の光となる。

「ッ……ぁぁあああああああああああっ!!」

「っ、嘘!?」

 しかしその瞬間、イリスが力を振り絞る。
 優奈の“意志”を弾き、緋雪達の拘束を全て吹き飛ばしてしまった。

「(このままだと、転移で避けられる……!)」

 再度止めようにも、僅かに間に合わない。
 ここに来て“可能性”を見せたイリスに、優奈も打つ手はない。









   ―――「……優輝!」

「……かやちゃん?」

 その時、一筋の閃光が飛んできた。
 それを真っ先に感じ取ったのは、葵だった。
 その閃光に籠められた“意志”に、最も馴染み深かった故か。

「ッ………!!?」

 遥か遠く、神界と優輝達の世界を繋ぐ、その出入り口から放たれた一矢。
 椿によって届けられたその閃光が、イリスの額を射抜いた。
 世界の様々な生命が一点に籠めた“意志”だ
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