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魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
最終章:無限の可能性
第289話「無限の可能性」
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なっ……!?」

「逃がさないわ!!」

   ―――“?κρηξη Dynamis(エクリクスィ・デュナミス)

 ダメージ覚悟で一歩踏み込み、理力をありったけ圧縮する。
 何をするか察したイリスが転移で逃げようとするが、それを“意志”で阻止する。
 そして、圧縮した理力を叩き込み、爆発を引き起こした。

「っづ………!」

「優奈!」

「まだ戦えるわ。……それと、削ったけどまだやるわよ、イリスは」

 爆発を受けながらも飛び退いた優奈を帝が心配する。
 その心配を受けながらも、優奈はまだ終わっていないと前を睨む。

「……この状況がお望みだったのかしら?優輝」

「……まあな」

「え……?」

 ここまで想定通りと言わんばかりの言葉に、聞いていた緋雪だけでなく、全員がどういう事なのか二人に注目する。

「言っただろう?“ただ倒すだけじゃダメだ”と」

「……一体、どうするつもりなの?」

 司が代表して核心を尋ねる。
 裏を返せば、倒す以外にやるべき事があるという事だ。
 それを行わない限り意味がないのであれば、聞かざるを得ない。

「イリスに受け入れさせるしかない。本当の自分を、本当の心を」

「……そのために、もう一人のイリスを残したのね」

「ああ」

 “もう一人のイリス”と聞いて思い浮かんだのは、優輝の洗脳を解く際に桃子の姿を借りて現れたイリスの“領域”の欠片だ。
 だが、彼女は消えたはずだと緋雪は思い、尋ねる。

「あの時消えたんじゃ……?」

「人格や自我となる、残り滓のようなモノがまだ残っている。元々は一つの“領域”だったんだ。それが簡単に消える訳じゃない」

 実際、今も優輝の中で眠っている。
 今起きている事も、なんとなくだが知覚しているだろう。

「欠片となったイリスを、本体のイリスへ戻す。同時に、僕らの“意志”を叩き込めば、イリスもさすがに自覚するだろう」

「最後の最後で賭けって訳ね」

「そこから先は僕らの“性質”すら与り知らない所だな。強いて言えば、イリス次第とでもいうべきか」

 まさかの大博打に、思わず全員が愕然とする。
 しかし、だからこそ勝ち取るべきだと、すぐさま気持ちを切り替えた。

「後は叩き込むまでの道筋を作るだけだ。来るぞ!」

「ッ!!」

 イリスも体勢を立て直していたのか、“闇”の触手が鋭さを取り戻し、さらには“闇”の極光を交えて全員に襲い掛かってくる。

「はぁっ!!」

 攻撃を避け、緋雪が斬りかかる。
 その攻撃は圧縮された“闇”で防がれ、さらにイリスは転移する。

「っ……!」

 転移直後に“闇”の刃を薙ぎ払い、それを神夜と奏が跳んで避ける。
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