第百九十八話 下野と常陸その二
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「かなりの人物で幕府に従っていない」
「その従っていないことが問題ですね」
「この場合は」
「傑物であり」
「そうであることが」
「そうだ、従っていないということはだ」
幕府にというのだ。
「この場合はな」
「敵ですね」
「そうみなしていいですね」
「やはり」
「そういうことですね」
「そして有能ならだ」
今度はこのことを話した。
「尚更だ」
「有能な敵である」
「それが厄介ですね」
「奥州の主については」
「左様ですね」
「しかも奥州と言っているが」
英雄はさらに言った。
「羽州もだな」
「はい、完全に手中に収めています」
「本拠地は奥州ですが」
「羽州も掌握してです」
「治めています」
「文字通りの奥羽の主だ」
そうなっているというのだ。
「だからな」
「それで、ですね」
「あの者については」
「幕府の敵である」
「そう言っていいですね」
「今後はな、従う様に言うが」
使者を送ってというのだ。
「しかしだ」
「あの者は従わない」
「上様はそう言われますか」
「そう思われていますか」
「思っている」
事実そうだとだ、英雄は周りに答えた。
「若し従うならだ」
「それならですね」
「その時はよし」
「奥羽を幕府に組み入れる」
「そうしますね」
「そうするがだ」
しかしと言うのだった、英雄は下野を攻めつつ既に奥羽のことを考えてそうしてここで言うのだった。
「俺が思うにだ」
「従わない」
「だからですね」
「今後は」
「奥羽をですか」
「攻めることになる、それはな」
その奥羽攻めの時はというと。
「かなり先だがな」
「やはりそうですね」
「それはまだ先ですね」
「奥羽攻めは」
「そうなりますね」
「今下野と常陸を攻めている」
関東の残る二国をというのだ。
「そしてだ」
「この二国を完全に手中に収め」
「関東全てを治め」
「その政を盤石にする」
「それからですね」
「それからだ」
英雄は周りに話した。
「奥羽だ」
「関東の全ての政が盤石になり」
「完全に幕府の領地となる」
「それからですね」
「奥羽となりますね」
「それからでいい」
奥羽攻めはというのだ。
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