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戦国異伝供書
最終話 話が終わりその五

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「上様の御前となる様にしたいですな」
「それはいいことですな」
 家康は羽柴のその言葉に笑顔で述べた。
「ではそうなる為にも」
「二人を健やかに育て」
 そしてというのだ。
「それと共にです」
「教えていき」
「そして」
 そのうえでというのだ。
「その様にしたいです」
「そうですか」
「まだ先のことですが」
 子達がまだ幼くてだ。
「ねねと共に育てていきます」
「それはよいですな」
「茶器を賜るとまでは思いませぬが」 
 羽柴はそこまで欲は出さなかった。
「しかしです」
「それでもですな」
「茶のことも他のことも」
 全てというのだ。
「上様の御前でもです」
「立派に務められる」
「そうしたいですな、しかしそれがしもねねもそうしたことは苦手で」
 それでというのだ。
「利休殿に教えてもらっています」
「そうですか」
「それがしとねねも」
 子供達だけでなくというのだ。
「そうしています」
「はい、お二人共筋がよく」
 その利休が笑って話してきた。
「拙僧の言ったことをです」
「覚えていますか」
「言った傍から」
「ならばいいですが」
「ご安心を」
 利休は羽柴に笑って答えた。
「お二人のことは。学問も学ばれていますし」
「左様ですな」
「儒学も南蛮の学問も」
「そして武芸も」
「全てです」
 そういったこともというのだ。
「ご安心を」
「ならいいですが。それがしは百姓の出で」
 羽柴は自分の生まれのことも話した。
「ねねも同じ様な家の出なので」
「それで、ですか」
「それがし学問も武芸も苦手で」
 そして茶道もだ、羽柴はそうしたことに造詣が深くなく自分でもそのことがよくわかっているのだ。
「ですから」
「それで、ですか」
「息子達にはです」
「是非にですな」
「そのことはです」
 まさにというのだ。
「お願いします、そして二人共立派に」
「そう願われますか」
「つとに」
「羽柴殿は子煩悩ですな」
 このことは顕如が見てもだった。
「それ程までとは」
「はい、それがしもねねもずっと子が欲しく」
 それでとだ、羽柴は顕如にも話した。
「ようやく出来た子達なので」
「それ故にですか」
「大事で仕方ありませぬ、大事ですから」
 心からそう思うからだというのだ。
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