最終章:無限の可能性
第288話「人と神」
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イリスはどこかオーラを纏っている。
足元には“闇”が蠢き、優輝が放った牽制攻撃を一蹴していた。
「……それと、重要な点がもう一つ」
「優輝君?」
「お兄ちゃん?」
言葉を続ける優輝に、司と緋雪は思わず振り向いた。
イリスを見る優輝の目が、敵を見る目とは違ったからだ。
「……イリスは、ただ倒すだけじゃダメだ」
「どういう―――」
その言葉の意味を問おうとする司だったが、それは叶わなかった。
鞭のように“闇”が振るわれ、散開したからだ。
「―――なぜ」
「っ……!」
加え、イリスの様子がおかしかった。
聞こえてきた声と、その表情を見た帝が思わず戦慄する。
「なぜ、なぜ、なぜなぜなぜ……!」
「っづ、こいつはぁ……!?」
“闇”の触手の動きが、今までと変わる。
まるで剣や腕を振るうかのように、的確だった。
さらに威力も馬鹿にならず、帝ですら防御の上から若干押される程だ。
「なぜ、人間がこれほどの……!神に食らいつくと、本気で……!」
「な、なに……?」
目の前にある現実が認められないと、イリスは喘ぐ。
「人と、神界における神。そこになんの違いがある?」
「っ……何もかもが違うでしょう!」
寿命、力、精神性。確かにあらゆるモノが違うだろう。
特に、神界における神は“性質”という生まれ以っての役割もある。
イリスの言う事も決して間違いではない。
「ああ、そうだな。ほとんどが違う。……だが、共通している事もある」
心もある。感情もある。そして、意志を持つ。
それらは神にも共通し、尚且つ知性ある生命にとっての最大の武器だ。
「生命には“無限の可能性”がある。そこに人や神など関係ない。全身全霊で、限界を超えてなお追い求める“意志”があれば、こうして神にも届く」
「それは……!」
「“可能性”は僕ら“可能性の性質”の特権じゃない。……いや、あらゆる“性質”がその神の特権ではない。枠組みを超えてなお力を発揮する姿、お前も知らないはずがあるまい」
「ッ……!」
イリスは否定できない。
なぜなら、執着する相手であるユウキがその枠組みを超えた力を持つからだ。
「今一度問おう。お前はもう一人のお前が言った事に、納得したか?」
「ッッ―――!!」
そして、同時にそれはもう一人の自分が言った事を認めるという事だ。
“闇”でありながら光を示した自身の欠片に、イリスは確かに魅せられた。
以前の大戦で、ユウキに魅せられたのと同じように。
「人であろうと、神であろうと、その在り方に縛られる必要はない。イリス、お前も“闇”に縛られる必要はないんだ
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