第一章
[2]次話
開幕はいつも
ペナントがはじまった、根室千佳は週刊ベースボールマガジンを読みながら一緒にリビングにいる兄の寿に言った。
「今年はカープどうかしら」
「残念だったな」
兄はデイリースポーツを読みながら妹に応えた。見ればリビングのテーブルには月刊カープと月刊タイガースもある。
「今年は阪神だ」
「それ毎年行ってるわよ」
妹は視線を全く動かさずに兄に返した。
「それで今年もなのね」
「今年もとは思わないのか?」
「そう言って毎年駄目だからね」
それでというのだ。
「こう言うのよ」
「じゃあ十月泣け」
「カープ優勝したら泣くわ」
「そうか、じゃあ頑張れ」
「そっちこそね、もうすぐ開幕だけれどね」
「今年は九回までだぞ」
兄はこのことを言った。
「それでだ」
「終わったら引き分けね」
「そうだからな」
「そのことも考えないとね」
「ああ、それで僕はカープは嫌いじゃないからな」
「私も阪神嫌いじゃないわよ」
兄妹でこう言葉を交換した。
「だから頑張ってね」
「そっちこそな」
「巨人には勝ってね」
「今年は大幅に勝ち越すからな」
「それ本当に頼むから」
兄の方を見て真剣な顔で言った。
「ここ二年酷いから」
「滅茶苦茶負けてるからな」
「そこ頼むわよ」
「わかってる、今度は勝つぞ」
「毎回チャンスに凡打か三振だけれどね」
阪神打線の特徴だ、その為得点がいつも低いのだ。
「頼むわよ」
「大船に乗ったつもりでいろ」
「毎年そんなこと言ってるけれどね」
妹の言葉は今度はクールなものになった、そうしたやり取りをしてだった。
二人はそれぞれのチームについて開幕について勉強をしていった、千佳は大丈夫かと思ったが寿はというと。
優勝間違いなしと言っていた、それはクラスでもだった。
「今年は優勝だな、阪神」
「そうして欲しいけれどな」
「毎年そう言って、だからな」
「頑張って欲しいのに」
「地元民としても」
神戸にある学校なのでクラスメイトの殆どもこう言った。
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