第三章
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「私がです」
「夜の相手を」
「させて頂きたくです」
「ここに来はったんですか」
「そうです、鷹宮家の女の人は旦那さんと息子さん以外には手を触れられませんが」
それでもというのだ。
「女の人はええですね」
「そやからですか」
「家の女の方が夜でお一人の時はです」
「伽にですか」
「そうしたしきたりでして」
鷹宮家はというのだ。
「今宵は私がです」
「来はったんですね」
「はい、それでですが」
「宜しゅうお願いします」
これが綾香の返事だった。
「それでは」
「ええですか」
「女の人と一緒に寝るのははじめてですけど」
それでもとだ、綾香は彼女に述べた。
「来てくれはったからには」
「それでは」
「私は何も知りませんので」
「では私にですか」
「教えてくれはるんでしたら」
「では僭越ですが」
弓香は綾香に畏まって応えた。
「私が教えさせてもらいます」
「宜しゅう頼みます」
「それでは」
こう話してそしてだった。
弓香は綾香の部屋に入った、扉をそっと閉めてだった。
綾香は彼女に抱かれた、やがて綾香も抱き二人の夜を過ごした。そして翌朝のことだった。
綾香は義母に廊下で呼び止められ尋ねられた。
「夜はどないでした」
「はい、何といいますか」
綾香は義母に頬を赤らめさせて答えた。
「男の人はまた違った」
「ええものがありますね」
「そうでした」
「私もそうでした、一人でいる夜は」
「ああしてですか」
「伽の人が来てくれて」
それでというのだ。
「相手をしてもらって」
「それで、ですか」
「夜を過ごしました、この家では男の人には旦那様と子供にしか触れられませんが」
女はというのだ。
「女の人はええですので」
「そやからですね」
「一人の夜はです」
「伽をしてもらうのですね」
「お気に入りの人がいたら呼ぶこともです」
自分もというのだ。
「ええですさかい」
「それでは」
「これからはそうして夜を過ごして」
そしてというのだ。
「そちらの欲を満たしなさい」
「わかりました」
「悪いことやおまへんで」
義母は綾香に微笑みこうも話した。
「男の人に触れることは罪ですけど」
「女の人やとですね」
「罪になりまへんさかい、むしろ」
「むしろですか」
「女の喜びは女が一番知ってます」
義母の微笑みが妖しくなった、それで言うのだった。
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