第1部
ポルトガ〜バハラタ
シーラの決意
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だけど、今回は手順が違うから、支払いのときにこれをまた持ってきてくれるよう伝えてもらってもいいかしら?」
「わかった」
手短に返事をすると、ユウリはその書類を懐に仕舞い込んだ。
「あと、ミオ。これ、よかったら使って」
タニアが、私の手のひらにあるものを渡した。見ると、小瓶に黒胡椒が入っている。
「えっ……、これって!? こんなにたくさん、本当にもらってもいいの?」
小さい瓶とはいえ、ぎっしり詰め込まれた黒胡椒の値段は計り知れないだろう。おそるおそる尋ねる私にタニアは小さく笑う。
「遠慮なく使って。その代わり 、これを使ってまた新しい料理を考えたら、教えてね」
「もちろん!!」
そう言って、私も笑顔で返した。すると、外からなにやらユウリを呼ぶ声が聞こえてきた。
「おーい、ユウリさーん!! よかった、間に合った!」
息を切らしてやってきたのは、グプタさんだった。
「ユウリさんたちのお陰で、タニアはもちろん、町も平和になりました! ありがとうございます!」
「わざわざそれを言いに来たのか」
「そりゃそうですよ! なんたって命の恩人なんですから!」
ユウリが呆れたように言い放つが、グプタさんは気にする様子もなく、改めてお礼を言う。
「それじゃ皆さん、お元気で!!」
私が手を振ると、ナギとシーラも同じタイミングで手を振る。グプタさんたちもそれに反応するかのように、皆笑顔で返してくれた。
「またいつでも遊びに来てね。もし黒胡椒が足りなかったらいくらでもあげるから」
そう言うとタニアは私を呼び寄せ、耳元で囁く。
「ユウリさんと、仲良くね」
そう一言言うと、パッと手を離す。そしてそれきり何も言わず、笑顔で手を振った。
「孫娘を救って頂いて、本当にありがとう。これからこの地で、勇者どのの功績を後世に伝えますじゃ」
「カンダタは逃がしてしまいましたが、これから少しでも強くなって、タニアたちを守っていこうと思います。ユウリさんたちも、お気をつけて!」
三人と挨拶すると、ナギとシーラはそのまま町の外に出ると言うので、途中まで一緒に向かうことにした。
入り口に到着すると、シーラは私とユウリを交互に見やると、ユウリに向かって言った。
「ユウリちゃん、ミオちんのこと、お願いね☆」
「ふん。俺はこいつの保護者じゃないぞ」
「ミオ。あいつに振り回されて辛くなったらいつでもバハラタに来いよ」
隣でこっそり耳打ちするナギに気づいたユウリが、もはやお家芸であるベギラマをナギの足元に放った。 この風景も当分見られないと思うと、ちょっと寂しい。
「ナギ、シーラのことよろしくね。シーラ、頑張って強くなって戻ってきてね」
「うん☆ ミオちんも、二人で大変かもだけど、頑張って!」
そう言うと、私とシーラは固
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