第1部
ポルトガ〜バハラタ
はじめての黒胡椒
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ちにも責任がある。だが逃げたとしても、あの怪我で当面カンダタ一人でどうにか出来るとは考えにくい。とにかく今は、あの変態の仲間だけでも役所に突き出すぞ」
そういうとユウリはナギを呼び寄せ、馬車から未だ寝ているカンダタの仲間を叩き起こすと、知らぬ間に拘束されている事態に混乱している彼らを問答無用で歩かせる。
「俺とそこの男で役人のところに向かうから、お前らはジジイの店で待ってろ」
そう言うとユウリは、グプタさんを連れて先に町の中へと入っていった。
二人を見送ると、私は未だ動揺しているタニアさんに改めて事情を説明した。
「それじゃあ、ユウリが戻るまでタニアさんの家で待っててもいいですか?」
「は、はい、もちろん!」
「あと、その、すいません。今私たちが来てる服なんですけど、タニアさんの服なんです。カンダタのアジトに行くためにどうしても必要だったんですが、見ての通りボロボロにしてしまいまして……ごめんなさい」
「ううん、気にしないで。あなたたちがいなければ、私は今頃盗賊たちに売られていたんだから! むしろお礼をしてもしきれないくらいだわ!!」
「タニアの言うとおりです! 僕のことも助けていただいて……! 本当にありがとうございました!!」
二人して、ぺこぺこと頭を下げる私とタニアさん。見かねたナギが、間に割って入る。
「いーから、早く用事を済まそうぜ! 昨日から何も食ってないから限界なんだよ!」
そういえば、私も結局何も食べてなかったんだ。お腹をさわると急に空腹感が沸いてきた。
「だったら、私の家で食べていって! せめてものお礼がしたいの!」
「でもタニアさん、疲れてるんじゃ……」
「大丈夫! それより皆さんの方こそお疲れでしょ? せっかくだから今晩泊まっていって欲しいわ」
なんて有難い申し出だ。せっかくのご厚意だし、何より断る理由がない。私たちは揃って頷いた。
気づけば夜の帳が降りている。そんな中私たちは、タニアさんとマーリーさんとともに、彼女らの家へとお邪魔することになった。
どうやら彼女は祖父であるマーリーさんと二人暮らしで、ご両親はタニアさんが物心つく前に亡くなってしまったらしい。
以来、マーリーさんと二人で店を切り盛りしながら生活しているそうで、グプタさんと出会ってからは、すっかり彼に頼っているようだ。
そんなことを道すがら話していたので、私たち女三人はすっかり仲良くなってしまった。
家についてからタニアさんは、早速食事の支度を始めたので、私も自分の服に着替えたあと、彼女の手伝いをすることにした。ナギはマーリーさんと一緒にお風呂の用意、シーラは客間を借りて寝る準備を進めていた。
「ありがとう、ミオ。正直皆が手伝ってくれるから本当に助かるわ」
キッチンでスープの野菜を切るタニ
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