第1部
ポルトガ〜バハラタ
シーラの正体
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どうやらリレミトには、人数制限があるらしい。仕方なく、出口まで歩くことに。
ユウリはカンダタを縛った縄を持ち、動けない私は、グプタさんたちに介助してもらいながら、ナギにおんぶしてもらうことになった。
出口に向かう間、ナギは私にしか聞こえない声で言った。
「悪いな……遅くなっちまって。ここにたどり着くまでに手間取ったんだ」
声を出せないので、後ろで大きく首を振る私。その反応を知ってか知らずか、ナギは言葉を続ける。
「お前らを乗せた馬車が思いの外早くてさ、一回見失っちまったんだよ。そのあとなんとか見つけ出したのはいいんだけど……、途中でその、お前らを買い付ける業者みたいな奴らに出くわしてさ。そいつらから先に足止めせざるを得なかったんだ」
つまり、私たちを買うつもりだった人たちの妨害を先にした、ってことかな?
でもやっぱり、あの時カンダタが言ってたことは、嘘だったんだ。二人が私たちを見捨てないでくれたことが、何よりも嬉しかった。
「オレたちがもっと早く助けに来れてれば、お前もシーラもあんな目に遭わなかったんだ。……本当にごめんな」
いつになくしおらしいナギを背中越しに見て、彼の肩を掴む手に力が入る。
ううん。本当は、ナギたちが来るまで待ってれば良かったんだ。二人を完全に信用せず、後先を考えず無鉄砲に飛び出してしまった私が一番悪い。自業自得と言われても仕方ない。
けれど、それを言葉に出すことができない自分に若干苛立ちを覚えているのも事実だった。
「オレさ、この間イシスにいたとき、また変な夢を見たんだ」
夢!? てことは、また予知夢? 一体どんな夢を見たんだろう。
「今回のは、お前が目を閉じて倒れている夢だった」
え?
「そのままずっと目を覚まさないまま朝を迎えて、オレたちに囲まれて棺桶に入れられるところで目が覚めた」
待って待って待って!! それって私、死んじゃうってこと?!
「私、死ぬ、ってこと?」
私は若干痺れのとれた口の筋肉を必死に動かして叫んだ。
「夢の中ではな。でも、その見た夢の場所が、洞窟だったんだ。だから、もう予知夢は起こったんだと思う」
「じゃ、シーラ、が、助けて、くれたから」
「ああ。予知が外れて、お前はカンダタに殺されなくて済んだってことだ」
ナギのその言葉に、私は安堵と同時に背筋が凍った。
「だからこそ、あいつには……シーラには正直な話を聞きたい。もし最初から呪文が使えたんなら、今までこんな苦労せずに済んだしな。それに、このままわだかまりが残ってちゃ、お前を助けてくれたことに感謝したくてもできねえしさ」
「……」
確かにシーラが何で今まで呪文を使えることを隠してたのか知りたいとは思うけど、彼女は彼女なりに悩んできたんだと思う。だったら無理に問い質すのは彼女にとって
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