第1部
ポルトガ〜バハラタ
人買いのアジト
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三人は口々に言いたいことを言うと、携えた武器をこちらに向けた。どうやら向こうもその気のようだ。
「あんたたちの思い通りには行かないんだかりゃ!」
あ、やばい、舌噛んじゃった。
慣れない口上を言うもんじゃない。私は羞恥で顔が沸騰するくらい赤くなる。
「ぶはははは!! 威勢のいいこった!!」
「可愛いじゃないか。俺はこういう子は嫌いじゃないぜ」
「どうでもいい。抵抗するならこちらも容赦はしない」
言うや否や、一番好戦的な盗賊が曲刀を振りかざしながら、私に向かって突っ込んできた。狭い通路なので、三人が一斉に襲いかかってくることはないが、それでも驚異であることは変わりない。
私は全神経を集中させると、盗賊Aの放つ大振りの一撃を難なくかわす。その隙を突き、体を捻りながら盗賊Aのこめかみを拳で叩きつけた。
「ぎゃああああっ!!」
「こ、この女……!?」
「ただの町娘ってわけではなさそうだな」
盗賊Aはたまらず地面に転がるように倒れる。おそらく脅しのつもりで攻撃を仕掛けたつもりだったのだろうが、思いもよらぬ反撃に、へらへらしていた表情が瞬時に硬くなった。
向こうも私の殺気を感じ取ったのだろう。頭を切り替えたのか、倒れている盗賊Aを飛び越えた盗賊Bが、私に向かって駆けだし、短剣を左右に薙ぐ。だが、腕輪の効果なのか、相手の動きがまるでスローモーションのように見える。
剣?をかわしながら数歩下がり、利き足に重心をかける。相手の攻撃が止んだ瞬間、足を思い切り上に蹴り上げると、盗賊Bの顎にクリーンヒットした。
「ぐああああっ!」
「くそっ!」
盗賊Bがのけぞったその背後から、盗賊Cがこちらを目掛けて石を投げてきた。私は間一髪それを避け、石はすぐそばの岩壁に跳ね返る。
「痛っ!!」
突如、左腕に鋭い痛みが走る。見ると小さいながらも刀傷がついている。一体いつ?
前に向き直ると、盗賊Cがにやりとした笑みを浮かべる。さっきの石はフェイクだったようだ。
しまった、油断した……!
「ミオちん!!」
金切り声とともに、シーラが盗賊Cの投げた石を拾って投げつける。盗賊Cは最小限の動きでこれを避け、その流れで腰に隠してあった何本もの小さい針のようなものを両手で持てるだけ持ち、再びこちらに放ってきた。
まずい、避けたらシーラにも当たる……!
本能的に避けるのはまずいと判断した私は、できる限り手で打ち払うが、目では追えてもすべてを処理できるほどの技術もなく、二、三本打ち損じてしまった。
「う……ぐっ……!!」
さらに右頬と左足に切り傷が増え、たたらを踏む。幸い殺傷能力は大したことないので、痛みを我慢すればなんとかなるだろう。あとは気合いだ。私はなんとか踏みとどまり、盗賊Cを見据えた。
そのときの私の表情に鬼
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