第1部
ポルトガ〜バハラタ
人買いのアジト
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の悲鳴も上げないまま、地面に倒れ伏した。
「ミオちん、すごーい!」
シーラが、小さく手を叩きながら感嘆の声を上げた。
「ロズさんにもらった『星降る腕輪』のお陰だよ」
そう、こんなにうまくいったのは、素早さが格段に上がるというこの『星降る腕輪』のお陰だった。
この腕輪を使えば、日常生活においてはいつもと変わらないが、自分が意識すれば戦闘で普段よりも素早く動ける。
バハラタに着く間、私はずっとこの腕輪を身に付けていた。すると、自分でも驚くくらい周りの動きが遅く感じるのだ。
攻撃力などは変わらないが、敵の攻撃を避けたり、自分の攻撃をいつもより多く叩き込めたり出来るのは、この装備品の最大の強みであった。
そんなこんなで牢から出ることに成功した私たちは、男に気づかれないよう静かに横を通りすぎ、急いで部屋を出ようとした。
「あっ、待ってミオちん!」
後ろを振り向くと、シーラは倒れている男のポケットからもう一つ鍵を取り出した。
「あ、そっか! タニアさんたちの牢屋の鍵か!」
さすがシーラ! 気づかず忘れるところだった。
鍵を手に入れ、再び部屋の出口へと向かう私たち。牢屋のあった部屋を出ると、そこは狭い通路で入り組んでおり、少し進むと二手に分かれた道に出た。
「待って。確かここに来る途中、どっちかの道からタニアさんたちの声を聞いた気がする」
「ホント?!」
シーラの記憶力を頼りに、タニアさんたちがいると思われる場所へと向かう。
敵がいるかもしれない中、細心の注意を払いながら奥へと進む。ほどなくして、少し開けた場所が見えてきた。
「あれは……」
私が呟くと、シーラもそれに反応した。
「あたしたちが入れられたのとおんなじ場所だね」
ということは、きっとこの中に……。
「あっ、あなたたちは!?」
『しーっ!!』
出会い頭に大声を上げられたので、慌てた私とシーラは、咄嗟に人差し指を口にあてた。
その注意された張本人のグプタさんは、はっと気付き、手で口元を押さえた。
「すっ、すいません。まさかあなた方がいるとは思わず、つい……」
「グプタさん、怪我の方は大丈夫ですか?」
「あっ、はい!幸い大したことなかったんで、平気です」
ぺこぺこと頭を下げるグプタさんの横で、私たちを凝視しているのは、おそらくタニアさんだろう。
艶やかな青い髪を揺らしながら気丈に振る舞うその姿は、私たちとそう変わらない年齢にも関わらず、とても落ち着いて見えた。
「あの、初めまして、タニアさん。私はミオ。こっちはシーラです。あなたのおじいさんに頼まれて、あなたたちを助けに来ました」
「まあ、おじいちゃんが?!」
マーリーさんの名前を出したとたん、タニアさんの警戒心が薄らいでいく。
私たちは、他の仲間が自分たちを
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