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幻の月は空に輝く
アカデミー入学・3
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 ざわざわと、いつまで経っても静かにならない教室。
 会話をするようには見えなかったシカマルとサスケを横目で見てたら、原作よりも少し若いイルカが廊下を歩いてくる。
 鼻の頭の傷。
 優しげな…でもまだ葛藤有りな印象を受けるイルカの表情。
 イルカが担任なのかなぁ、と視線で追っていたら次の瞬間にはイルカの声が教室に響いた。

「お前ら静かにしろーー!!」

 怒鳴るまではいかないけど、少し耳に痛いかなという大きさの声。
 サスケと話す為に後ろを向いていたシカマルは、面倒だと言わんばかりの表情を浮かべて前を向く。
 ひょっとしてこれから自己紹介なんだろうか。
 また、夜月ランセイです。のたった一言で終わる寡黙以前ただの口下手的な自己紹介かなぁ。
 未だにちらちらと見られているサスケの場合、名前だけの自己紹介でも歓喜の悲鳴が聞こえてきそうだけど。

「俺は海野イルカ。これからお前らの担任で色々と教えるがよろしくな!」

 黒板にさらさらと名前を書いた後、にかっと笑うイルカ。裏表のない笑顔。裏表と言えばミズキもこれから関わっていくんだろうなぁ…。
 あ、自己紹介やるんだ。やっぱり自己紹介は定番だよね。ってこの席一番最後…?
 前の席に座ってる子からやり始めた自己紹介を見て、思わず溜息をつきたくなりながらも自己紹介を眺める。
 これから関わり合いになるのかならないのか微妙な所だけど。
 そして今更ながらサクラやいの。他にはヒナタにキバにシノにチョウジといった原作メンバーの存在に気付く。ナルト以外は皆同時期に入学したんだ。
「おい」
「…?」
 傍から見ると相当ぼけーとしてるように見えたのか、隣に座っているサスケが私の肩を小突きながら心配そうに顔を覗き込んでくる。
 心配そうに??
 あれ? 何でだろう。ちょっと考え事をしながら自己紹介を真面目に聞いてただけなのに。

「あの野郎になんかされたか?」
 
 相変わらずサスケは心配そうな表情を浮かべたまま、ゆっくりと、語尾を詰まらせるように言葉を紡いだ。

「は?」
 
 あの野郎って誰だろう。
 分からず首を傾げていると、サスケが口をへの字に曲げながら面白くなさそうに頬を微かにだけど膨らませる。
 …前はただのツンツンだったのに、可愛い反応をするようになってきたよね。
「あの銀……じゃなくて片目を隠した野郎にだ」
 銀髪野郎、と言い掛けたんだと思う。それだと私も同じ銀髪だから、サスケは不自然に言葉を止めて言いなおした。だからどうしてこういう風にデレが出るのかな。流石うちは。しかもイタチの弟。イタチも時々デレがきて微笑ましくて笑っちゃうよ。
 けど、このままでいくとカカシの不名誉な噂が流れそうだから、それには首を横に振って否定しておく。
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