第一章
[2]次話
障害に負けなかったお母さん猫
アメリカの自然は多彩だ、それで砂漠もあり。
ロス郊外の砂漠で猫が保護されたと聞いてボランティアをしていた日本の留学生島田成実は驚いて言った。
「カルフォルニアにもですか」
「砂漠はあるのよ」
ゾーイ=セスラー障害の猫専門のボランティア施設ミロス=サンクチュアリのスタッフである彼女は成実に答えた。成実は黒髪をショートにしていて黒い大きな目で背は一五五位でゾーイは波だった金髪を長く伸ばし目は青である。背は一六四位でやや肉付きがいい。
「そうなのよ」
「アリゾナだけじゃなくて」
「このカルフォルニアにもね」
「そうだったんですね」
「アメリカは広くてカルフォルニアも広いから」
だからだというのだ。
「砂漠もあるのよ」
「そういうことですね」
「それでその猫はね」
肝心の猫の話に移った。
「何でも背骨に大怪我を負っていて」
「それで、ですか」
「後ろ足が動かないけれど」
「それは大変ですね」
「けれどね」
それでもとだ、ゾーイは成実に言った。
「生きているわ、それに妊娠中よ」
「妊娠していますか」
「だからね」
「お腹の赤ちゃん達もですね」
「皆助けるわよ」
「わかりました」
成実はゾーイの言葉に頷いた、そうしてだった。
施設に保護されたその猫を見た。すると。
その猫は灰色の毛で吊り目であった、そしてお腹が大きく。
「あと少しでね」
「出産ですね」
「ええ、けれど下半身が動かないから」
見れば身体を引き摺っている、本当に後ろ足が動かない。
「だからね」
「出産もですね」
「そう、それもね」
駄目でというのだ。
「だからね」
「それで、ですね」
「出産の時は帝王出産もね」
それもというのだ。
「あるわね、いえむしろね」
「帝王出産をですね」
「念頭に置いた方がいいわね」
「そうですか」
「そうでないと子猫達も危ないし」
それにというのだ。
「母猫もね」
「この娘もですね」
「ええ、その時はね」
出産の時はというのだ。
「帝王出産でね」
「産んでもらいますか」
「下半身が動かないから」
だからだというのだ、そして実際にだった。
トリクシーと名付けられた怪我をしても必死に生きている猫の出産は帝王出産となった、するとだった。
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