第百九十六話 鎌倉入りその六
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「それだけなら落ちるものだ」
「左様ですね」
「他に城がなければ」
「その城だけならば」
「籠城したとしても」
「そうなる」
英雄は自分達の世界の小田原城よりも大坂城を思い出した、この城も孤城になりそのうえで陥落している。
「だからな」
「まずはですね」
「あの城だけにしますね」
「そのうえで、ですね」
「攻めますね」
「そうする、枝を全て刈り取り」
英雄は今度はこう言った。
「そしてだ」
「そのうえで、ですね」
「幹に斧をかける」
「そうしますね」
「そういうことだ、ではまずは国人達とその城からだ」
こう言ってだった。
英雄は相模や伊豆のまだ降っていない国人達に一斉に使者を送った。すると大抵の者が幕府に降った。そして。
降らない者達には兵を送った、そうしてだった。
相模と伊豆は小田原以外が幕府の手に落ちた、そのうで駿河から入っていた軍勢を鎌倉に入れたうえで。
英雄はここでさらに言った。
「ではいよいよだ」
「はい、小田原ですね」
「あの城を攻めますね」
「それにかかりますね」
「これより」
「そうする、相模と伊豆の国人達もだ」
その彼等もというのだ。
「小田原に来てもらう」
「兵を率いて」
「そうしてもらいますね」
「そしてそのうえで」
「まずはですね」
「城を囲む」
小田原城をというのだ。
「まずはな」
「そのうえで、ですね」
「あの城を攻める」
「そうしますね」
「そこから」
「そうする、しかしだ」
英雄はここでこうも言った。
「やはり力技よりもな」
「城を攻めるよりもですね」
「人を攻める」
「そうしていきますね」
「そうする、その方が損害も少なく」
そしてというのだ。
「また城も荒れない」
「城の中にある街も」
「そうなるからですね」
「小田原においてもですね」
「人を攻めますね」
「城を攻めるのはやはり下策だ」
即ち決していい戦い方とは言えないというのだ。
「かえってな」
「左様ですね」
「今上様がお話された様に損害が大きいです」
「人は傷付き城も街も壊されます」
「いいことはありません」
「だからだ」
それ故にというのだ。
「攻めるのはな」
「人ですね」
「人に降る様に言う」
「そうする様にしますね」
「これよりは」
「そうする、そしてだ」
そのうえでというのだ。
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