第二章
[8]前話
飼い主を探してもらったが。
「残念ですが」
「飼い主さんはですか」
「SNSで情報を伝えましたが」
それでもとだ、施設の職員はジェマに話した。
「それでもです」
「名乗り出て来られないですか」
「はい、ですから」
それでとだ、職員はジェマにさらに話した。
「新しい飼い主をです」
「探されますか」
「はい」
そうするというのだ。
「これから」
「そうですか」
「きっといい飼い主が見付かります」
職員はこうも言った、そしてだった。
SNSを使って新しい飼い主を募集するとだった、申し込む人が文字通り殺到した、それで職員はジェマに話した。
「幸せな唯一の人が決まりました」
「あの子の飼い主さんがですか」
「はい、オリーブの」
職員は犬の名前も話した。
「決まりました」
「そうですか」
「とてもいい人で」
その新しい飼い主はというのだ。
「オリーブはきっと幸せになります」
「そうですか」
「いい子ですから」
職員はオリーブを見てだった。
その頭を撫でた、するとオリーブは。
「ワンワン」
「この通りです」
「尻尾を振っていますね」
「はい、大人しくて優しくて人懐っこくて」
そうしてというのだ。
「誰とも喧嘩をしないで仲良くする」
「そんな子ですか」
「紳士ですよ」
その性別のことも話した。
「この子は」
「そうじゃあですね」
「いい人と一緒に暮らしますが」
「その人もですね」
「幸せな人です」
まさにというのだ。
「こんないい子と暮らせるんですから」
「そうですか、では」
「はい、元の飼い主のことは気になりますが」
「この子は幸せになりますね」
「家族になった人も」
職員はジェマに笑顔で話した、するとジェマも笑顔になり。
彼女もオリーブの頭を撫でた、するとオリーブはまた尻尾を振った。その目はきらきらとしていてとても奇麗なものだった。ジェマは優しいその目を見て余計に笑顔になった。
バスに乗ってきた犬 完
2021・3・21
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