第三章
[8]前話
「ベッカーはなんだ」
「長く生きる必要はないか」
「そうなのね」
「他の犬も他の生きものもだよ」
彼等もというのだ。
「だから皆だよ」
「寿命は短いか」
「そうなのね」
「そうだよ」
両親にこう言うのだった。
「だからね」
「そうか、もう知っているからか」
「愛情を」
「だから長く生きる必要はない」
「学ぶ必要がないから」
「そうだよ、ベッカーはずっと僕を愛してくれて」
そしてとだ、シェーンはさらに話した。
「お父さんもお母さんもだったね」
「うちに来た時からな」
「子犬で何も知らなかった筈なのに」
「お父さんもお母さんも愛してくれたよ」
「それも凄くね」
「だからだよ、人間は長く生きて」
そしてというのだ。
「勉強しないといけないけれどね」
「犬も他の生きものも知っているから」
「最初から」
「それでか」
「シェーンはそう言うのね」
「うん、それでベッカーは僕に愛情を教えてくれたんだ」
その一生でというのだ。
「そうして天国に行ったよ」
「そうか、そうした考えもあるな」
「素敵な考えね」
二人共我が子の言葉に感激した、そしてだった。
彼にだ、笑顔で話した。
「お父さんもお母さんもお前のその言葉覚えておくぞ」
「素晴らしい考えだからね」
「そしてベッカーのことも忘れないぞ」
「ずっとね」
「うん、僕も忘れないよ」
シェーンは両親に笑顔で応えた、そしてだった。
彼はずっとベッカーのことを覚えていた、そうして常に彼に有り難うと言った。最初から愛情を知っていて自分に愛情を教えてくれた彼に対して。
生まれた時から知っている 完
2021・3・21
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