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ドリトル先生と不思議な蛸
第六幕その一
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               第六幕  三重県の海は
 先生は動物の皆と鳥羽の海の調査を続けていきました、休日以外は日の出から夕暮れまでそうしてです。
 レポートも書きます、その中で先生は伊勢の水族館に勤めている人とその水族館でお会いしてお話をしました。
 まずは一緒に水族館の生きもの達を見てです、そうしてその人に言いました。
「今のところはです」
「発見されていませんか」
「はい」
 こう水族館の人にお話しました。
「あくまで今のところですが」
「そうですか、いないならです」
「それでよしですね」
「あの蛸は危険ですから」
 水族館の人は若い男の人です、眉毛がきりっとしていて黒髪をオールバックにしたかなり端正な背の高い人です。スーツがよく似合っています。
「ですから」
「それで、ですね」
「いないならです」
 それならというのです。
「まことにです」
「それに越したことはないですね」
「元々個体数は少ないですしね」
「そうですね」
 先生もその通りだと頷きます、水族館の事務室で向かい合って座ってその上で紅茶を飲みつつお話をしています。
「あの蛸は」
「そうです、ただ」
 水族館の人はこうも言いました。
「あの蛸は元々です」
「はい、日本にですね」
「棲息しています」
「そのことは僕も知っています」
「それは何よりです」
「はい、ですがこのことは」
 先生は水族館の人にお話しました。
「知らない人が多いですね」
「そうですね」
「あの蛸のことも」
「そうした人が多くて」
 水族館の人はここで曇ったお顔になりました、そのうえで先生に言うのでした。
「僕も心配しています」
「僕はこの水族館の蛸や烏賊の飼育や研究を担当していまして」
 それでというのです。
「普段はスーツでなく」
「作業服ですね」
「そちらを着てです」 
 先生に笑顔でお話しました。
「楽しくお仕事をしています」
「そうですか」
「はい、ですから蛸のことは詳しいつもりで」
「あの蛸のこともですね」
「そうです」
 知識があるというのです。
「少なくともそのつもりで」
「それで今も言われますね」
「そうです、あの蛸は昔から日本近海にも棲息していて」 
 そしてというのです。
「個体数は非常に少ないので」
「遭遇すること自体がですね」
「稀です、そして発見しても」 
 それでもというのです。
「特にです」
「恐れることはないですね」
「そうです」
 まさにというのです。
「決して」
「それはどの生きものにも言えますね」
「大事はことは恐れることではなく」
「その生きものをよく知ること」
「そうです」
 まさにというのです。
「そのことが大事で」
「それで、ですね」

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