第二章
[8]前話
「我が国の殆どの州ではオオカミ犬はネイティブでないと一般の人は飼育出来ないです」
「犬の血を引いていても犬じゃないからか」
「半分は狼だから」
「だからか」
「それでなの」
「はい、そしてアリゾナも」
二人がいる州もというのだ。
「その筈です」
「じゃあどうすればいいんだ」
「ネオはどうなるの?」
夫婦はやんちゃだが気質はよく二人にもよく懐いているネオがどうなるのかと思った、だがオニールは穏やかにだった。
オオカミ犬を保護してくれる施設が存在しネオもそこに入って仲間達と幸せに暮らせると夫婦に話した。それでだった。
夫婦もだ、それならという顔で話した。
「そうか、幸せに暮らせるなら」
「それならいいわ」
「殺処分とかされないならな」
「ネオと別れるのは辛いけれど」
「飼えないなら仕方ないな」
「そうね」
二人でこう話してだった。
ネオをその施設に引き渡すことにした、こうしてだった。
夫婦はネオと離れ離れになった、しかし。
その施設に足しげく通ってだった、ネオと会って彼に声をかけた。
「ネオ、今日も来たぞ」
「元気かしら」
「ご飯は食べてるか?」
「皆と仲良くしてる?」
「はい、仲間と楽しく暮らしています」
施設の人が二人に答えた。
「そしてよく寝てご飯もです」
「よく食べているんだね」
「そうなのね」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「安心して下さい」
「そういえば毛並みもいいな」
「仕草も楽し気だし」
「わし等に会って尻尾を振る動きもいい」
「これなら問題ないわね」
「じゃあネオ今から遊ぼうか」
「今日もね」
このことは施設の人達に許してもらってのことだ。
二人はネオと遊んだ、ネオは二人に今もよく懐いていた。
「ワンワン」
「離れ離れになったけれどな」
「私達は今も家族よ」
「だからこれからも宜しくな」
「また来るわね」
夫婦はネオに満面の笑顔で温かい声をかけた、仕方なく離れ離れになってしまったが彼等は家族だった。夫婦もネオもそのことを実感していた。
仕方なかったけれど 完
2021・3・20
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