第一章
[2]次話
森での出会い
アメリカバージニア州西部の森でのことだ。
この時この州で中学校の先生をしているハインリヒ=フィッツジェラルド赤い髪の毛をオールバックにしきりっとした青い目に先が尖った顎と一八〇近いすらりとした身体を持つ彼は共にいる小学校の教師をしている妻のハンナ金髪で黒い目に彫のある顔立ちで一六五程の背でメリハリの効いたスタイルの彼女に対してこう言った。
「何か猫の鳴き声が聞こえないかい?」
「そういえば」
妻もその声を聞いて頷いた。
「聞こえるわね」
「子猫の声だね」
「野良猫かしら」
「そうかもね、じゃあ」
「声のする方に行ってみよう」
「それがいいわね」
こう話してだった。
二人は猫の声がする方に行った、すると、
そこに薄茶色の毛で黒の虎模様があちこちにある子猫を見付けた、猫はつぶらな目で二人を見ていた。
「ニャア」
「この子だね」
「そうね」
妻は夫の言葉に頷いた。
「間違いないわね」
「そうだね」
「何か凄くお腹が空いてるみたいね」
「ニャアニャアニャア」
見れば猫はしきりにせがむ感じで鳴いていた、妻はそれを見て言った。
「この子」
「それじゃあ」
夫は妻の言葉を聞いてだった。
猫の前に出て持っていたサンドイッチを小さく千切ってだった。
猫の前に置いた、すると。
猫はそのサンドイッチを凄い勢いで食べた、夫はそれを見て妻に言った。
「今はいいけれど」
「ええ、この子一匹だけみたいだし」
「ここで僕達が去ったら」
「どうなるかわからないわね」
「母猫もいない様だし」
周りを見回すと他に生きものはいなかった。
「僕達が飼おうか」
「そうね、今お家にいるのは私達だけだし」
妻は夫の提案に頷いて応えた。
「それならね」
「そうしよう」
「そしてこの子を助けて」
「家族にしよう」
こう言ってだった。
夫はその猫を抱き上げてそうしてだった。
妻と一緒に猫を連れて家に帰った、そのうえで。
夫婦で猫を病院に連れて行って何も変わったところがないことを確かめてからだった、夫は妻に話をした。
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