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幻の月は空に輝く
学び舎の章――アカデミー入学・1
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「………」

 誰か知り合いいないかな。
 知り合いがいたら、一緒に行くからとか言ってカカシを振り切る理由になるんだけど。キョロキョロと辺りを見回すんだけど、居るのは知らない顔ばかり。
 無理かなぁ、と肩を落としかけた所で、ランセイって私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
 声の方に視線を向けてみれば、見覚えのある姿。

「サスケ」

 あれから何度か手合わせとかをしている効果があったのか、最近では漸くまともに名前を呼んでくれるようになったサスケ。
 名前を呼ぶ前は、おい、とか。お前、とか。どっかの熟年夫婦かと突っ込みたくなるような呼び方しかされなかったからね。
 のんびりに見せかけて、何となく急ぎ足で近づいてくるサスケを待つ為に足を止めてみる。それに倣う様にカカシも足を止めて、じっくりとサスケを観察する視線を向けてた。
 ちょっと露骨な視線に、ただでさえ眉間に寄っている皺を更に濃くするサスケは、隠す事無くカカシを睨み付けながら不機嫌そうに言葉を吐き出す。

「そいつ、誰だよ?」
「このひ…」
「俺の名前はなーいしょだよ。それよりうちはサスケかぁ。ランの友達としてはちょっと実力不足かなぁ」
 私の言葉を遮って、カカシが突然サスケに喧嘩を売り始める。
「何だとっ」
 ソレを迷わず買うサスケ。
「ラーン。アカデミーが退屈だったら俺に言えばいーよ」
「ランセイは俺と一緒にアカデミーに通うに決まってるだろ。おっさんは引っ込んでろよ」
「おっさ……ランセイねぇ。仲の良い奴はランって呼ぶんだけどねー」
「おっさんには関係ないだろ」
「若けりゃいいって問題でもないんじゃない?」
「年とってりゃいいって問題でもないよな?」


 あー……収集不可能な状態に突入したような気がしないでもないんだけど。
 けれど嫌な感じに周りの視線を集めだしてて、こんな形で目立つのはまったく本意じゃない私としては、他人の振りをして立ち去りたかったりもするんだけど、そういう時に限って二人揃って同時に名前を呼びそうな予感もしてね。
 隠す事無く、気が重いと言わんばかりのため息をこれ見よがしに吐き出した後。

「カカシさん。サスケ。他人の振りをされて俺に無視されるのと喧嘩を止めるのどっちがいい?」

 少し不機嫌そうに、眼を細めながら言い切ってみる。
 有言実行を貫いてきた甲斐があったのか、カカシとサスケが同時に顔を引きつらせながら私の方を見る。

「カカシさん。サスケは俺と同じ子供です。サスケ。カカシさんは俺では足元にも及ばない実力者だ」

 カカシには、サスケは子供なんだから剥きになるなと。これだけだとサスケが怒るから、私と同じって事を強調しておく。
 サスケには、カカシは私よりも遥かに実力者だという事を伝えておく。これ
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