第四話 出立
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、ドルフは集会場へと向かった。メンテナンスがされたばかりの装備は、いつになく着心地が良かった。彼の気のせいかもしれないが、装備の節々が、更に彼の体にフィットするように改良されている気もした。
(バークのやつ……これは、高く付くな)
調査の報酬金は、もしかすると、全てバークの工房へ寄付することになってしまうかもしれない。現実的にあり得そうな話だ。
「あ、おーい!」
ドルフの視界に、集会場と、彼に向かって手を振るユニの姿が見えた。カジンも含めた四人は、既に集会場の前で準備を済ませ、待機していた。
それからもう一人……受付嬢であるアニファも、何故か彼らと共にいた。
「待たせたか」
「いや、僕らもさっき来たところだ。危険な依頼だし、準備に時間がかかるのは仕方ない」
彼らの装いは、基本的には昨日と同じ。しかし、ユニとカジンの装備だけが異なっていた。
依頼に同行しないカジンは、見送りにだけ来たのだろう。装備は身に付けず、ラフな格好だった。対するユニは、腰や肩に弾幕ホルダーを巻き付けている。背負っているのも、双剣ではなくボウガンだった。
しかし、分からないのは……何故、アニファがここにいるのか、ということだ。ギルドの職員だから、見送る義務がある……いいや、少なくともドルフは、そんな風習をきいたことがない。
「あの……ドルフさん」
「なんだ?」
アニファがもじもじと、何か言いたげに俯いている。その理由が分からず、ドルフは首を傾げた。その近くでは、ユニやラッセルが、何故だか頭を抱えていた。
「約束……覚えてますか?」
突然、そんなことを言い出したアニファ。
約束。
それがなんだったか、一瞬、ドルフは思い出せなかった。約束らしき約束を取り付けた記憶はない。だが、それでも必死に思い出そうと足掻くと、一つ、それらしきものに心当たりがあった。
「約束……食事の、か?」
「……はい。あの、その……」
確かに、ドルフはアニファから食事に誘われ、それを拒絶しなかった。彼からすれば、自分のことを嫌う人間を減らすため、返事を誤魔化していただけだったが、アニファはこれを『約束』と捉えていたようだ。
「……絶対に、帰ってきてください。私、料理のお勉強、始めたんです」
「……? ああ、分かった。必ず帰ってこよう」
アニファの言葉の真意が理解できず、ドルフは当たり障りのない返事をした。その背中を、ユニが全力で叩きつける。
「大丈夫! この鈍感野郎は、私達が無事に連れて帰ってくるから!」
「おい、突然なんだ……」
「ドルフは黙ってなさい!」
物凄い形相で怒鳴りつけられ、思わず萎縮してしまうドルフ。何故怒られたのかも分からず、リエン達のもと
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