第四話 出立
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。これが良い薬となればいいが、可能性は薄いだろう。
「ドルフの専門は、大型モンスターなのか?」
食事を続けながら、今度はラッセルがそう質問を投げかけた。
「いや、専門というわけでもないが……そうだな。比率で言えばそういう傾向になる」
何も、ドルフは大型モンスターを専門としているハンターではない。ただ、ドルフほどの実力を持つハンターに採取依頼や小型モンスターの討伐依頼ばかりをこなされると、新人ハンターや実力の低いハンターに回す依頼が無くなってしまい、そういったハンター達が生活ができなくなってしまう。ギルドとしては、実力に応じた依頼を受けてほしい、というのが本心なわけだ。
そして、ドルフも鬼ではない。他のハンターから仕事を奪うような真似はしない。故に、大型モンスターを専門とするハンターだと誤解されがちだが、事実はこのようなところである。
「へえ。ソロで大型を倒しちゃうんだ……ねえねえ、最近はどんなやつを狩ったの?」
「最近か? リオレウス、リオレイア、ディアブロス……それに、ついこの間、バサルモスを狩ったか」
最近の依頼で討伐したモンスターの名前を、思い付く限りで挙げていく。最も新しい獲物は、数日前のバサルモスだ。
ドルフが一つ名前を挙げるたび、三人の表情が次々に変化する。最終的には、呆れたような、驚いたような、そんな表情をしていた。
「うわすっご……名だたる大型モンスターばっかじゃん。ドルフって本当に強いんだね?」
「うむ。ソロでそれだけ大型のモンスターを狩れるハンターなど、世界中探してもそういないだろう。仲間にいて心強いな」
「探せば、俺くらいのハンターはいくらでもいるさ。世界は広いからな」
ドルフはこう謙遜するが、実際のところ、正しいことを言っているのはユニやラッセルなのである。
皆が皆、口を揃えて『ハンター』と言うが、このハンターにも幾つかランクがあり、等級分けされている。地域によって名称は異なるが、ベラーナ村含め、一般的には『下位ハンター』『上位ハンター』『G級ハンター』と呼ばれている。ドルフはこのうち、上位ハンターに属するハンターである。
大前提として、G級ハンター、及びそれに値するランクに分類されるハンターというのは、世界に片手で数えられる程しかいない。『生ける伝説』とも評されるほどの実力であり、世間一般的なハンターとしての常識からは乖離した境地にある。
そのため、基本的に『ハンター』と言えば、下位ハンターと上位ハンターの二種のみを指すことが多いが、ハンターになった者達の殆どは、この下位ハンターで生涯を終える。上位ハンターになれるのはほんのひと握りの選ばれし者達であり、そこに属する時点で、ドルフは世界的に見ても有数のハンターであることが分かる。
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