第三話 招集
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?」
「僕も同じ質問です。前回嵐が晴れたのは、一年前だと言いましたよね?」
古塔は普段、嵐に包まれ、足を踏み入れることさえ叶わない地だ。今は天候も落ち着き、調査も可能だが、その天候がいつ崩れるとも知れない。もし調査の途中で嵐が巻き起これば、最悪の場合、何ヶ月、何年と塔に閉じ込められることになる。
「それについては、研究班から話を聞いている。『古塔を包む嵐は、ただの天候の乱れによるものではない。様々な要因が重なって引き起こされるものであり、次に嵐に包まれるのはおよそ一ヶ月後』……だそうだ」
一ヶ月後。村から塔まではおよそ四半月程度。調査の時間を込めても、それだけ猶予があれば問題ないだろう。
「それを聞いて安心しました。塔に閉じ込められるのはごめんですからね」
「その点については安心してもらって構わない。万が一予測が崩れた際には、気球から合図を送る。そうなったら調査は中止、直ちに帰還だ」
だとすれば問題はない。他に質問をする者はいないのか、五人はぱたりと静かになった。
「……もう質問はないか? なら、これで解散とする。全員分の食事券を配るから、これで夕飯でも食べながら、親睦を深めてくれ」
バッゾは五人に黄色いチケットを手渡すと、手を大きく一度、打ち鳴らした。
『解散!』という大きな声と共に、ドルフは扉を開け、部屋を出た。終始俯いたままで、表情の暗いレイニスをこれ以上見ていられなかった、という理由もある。だが何より、そろそろ空腹が限界に達している時間だ。
バッゾが配った黄色いチケット、『お食事券』は、ギルドが運営するギルド酒場及びギルド食堂で、チケット一枚につき一度、無料で食事ができる特別なものだ。高難易度依頼に挑むハンターに配られたり、祭り事の際に配られたり、ギルドによっては何かと理由をつけて配りがちである。
酒を飲まないドルフが向かったのは、集会場横に建てられたギルド食堂。尤も、酒を飲めたとしても、出発前夜に飲むようなことはしないが。
「ドルフ、君も食堂か?」
食堂に入ろうとしたドルフを引き留めたのはリエンだ。その後ろには他の三人もいて、うち、カジンは一人、ドルフを鋭く睨みつけていた。
「ああ。酒は飲まなくてな」
「僕もだ。ギルドマスターもああ言ってたことだし、一緒にどうかな」
「構わん。が、そこのボウガン使いに噛み殺されそうでな」
ドルフの視線に釣られ、他の三人の視線もカジンへと注がれた。
「カジン……あんた、一人だけ行けないからって、ドルフに嫉妬してんの?」
「ちげぇ!」
「あはは……大丈夫。カジンも悪気があるわけじゃないんだ」
「それならいいが」
危害を加えられなければ何でもいい。ドルフは扉を開き、食堂へ足を踏み入れた。途
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