第三話 招集
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たのだ。
「……随分と簡単なことのように言いますね、レイニスさん」
それは、怪我を負っていない方の、軽装備の男であった。口調こそ大人しいものの、彼からは怒りの感情が見てとれる。
「あなたは我々に、『死地に向かえ』と言っているんだ。ハンターである以上、我々も戦場で死ぬ覚悟はできています。が、それをさも当然かのように言われるのは腹が立つ」
「し、しかし、希少種は特に凶暴な性格です。塔を出て外に被害を及ぼす可能性もあります。討伐していただかなくては……」
レイニスの反論に、ドルフは頭を抱えた。この男は何も分かっていない。若さ故か、それとも、自身がハンターでないから分からないのか。
鈍ッ
男が、思い切り机を叩いた。普段は高重量の武器を振り回し、巨大なモンスターと戦っているハンターだ。手加減はしていたのだろうが、叩かれた部分だけ、机はひび割れていた。
「だから……頼む態度というものがあるだろう、という話をしているんだ」
静かに、ぴりぴりと、肌を刺すような怒りが伝わってくる。
レイニスは分かっていない。ドルフも彼らも理解している。危険なモンスターが生息しているというのなら、それを排除する。人々が生き残るために必要であるとされるなら、言われずとも、彼らはそう動く。
男が怒りを抱えているのは、淡々とそれを告げ、彼らの怒りの原因を理解していない、レイニスの態度そのものだ。レイニスがハンターではなく、安全な位置にいる観測班だから、尚更その怒りも強くなっているのだろう。
特に……ドルフはともかく、この四人は他のギルドからやってきた応援のハンターだ。レイニスの態度は、あまり褒められたものではない。
「我々はこのギルドの所属ではない。不満があれば、依頼を拒否する権利だってあります。それでもここへ来たのは、塔外への被害を抑えるために協力したいと思ったからです」
「わ、私はっ……」
それでもなお、見苦しく言い訳を垂れようとしたレイニスの頭を、隣に座るバッゾが押さえ付け、下げた。彼の言葉は中断され、代わりにバッゾが口を開く。
「……すまない。彼には、後で言って聞かせておく。どうか、矛を収めてもらえないか」
バッゾもまた、頭を下げる。男はそれを見て、自身を落ち着かせようと、深呼吸をした。
「……いえ。僕も、大人げない真似を」
「あんたが言わなければ俺が言っていた。間違っちゃいないさ」
ドルフは男のフォローに入った。彼ほどではないにせよ、ドルフ自身も、レイニスの態度には少々怒りを覚えていたからだ。
それを好機と捉えたのか、バッゾがすかさず立ち上がり、ドルフの隣に立った。
「遅くなったが、紹介しよう。彼はドルフ。腕利きの大
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