第三話 招集
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の際、五人いたパーティメンバーのうちの一人を戦死させているのだ。それも、彼の婚約者だった女性を。
彼も、初めは猛反対していたらしい。だが、婚約者の女性の猛アタックに負けたのだろう。結果的に、彼らは古龍を討伐したものの、大きな犠牲を払うこととなってしまった。
その逸話から、ギルドでは『五人で依頼を受けると、一人は戦死する』というジンクスが生まれた。だったら六人以上なら構わないのではないか、という話にもなるが……細かいことは、ドルフにもよく分からない。それを言ってしまえば、この村では十年前、四人のパーティから二人の戦死者が出ている。そのジンクスは生まれないのか、という話にもなってくる。
「そして、彼が古塔観測班のレイニス」
「こんばんは、皆さん」
少し、物思いに耽っていた。ドルフは首を振って、思考を室内に引き戻した。
バッゾの隣に座るのは、白い研究服を着た若い男。古塔観測班、つまり、例の気球を担当していた人間だということだ。
「今日、皆に集まってもらったのは他でもない。既に、大まかな話は聞いているかと思うが……ベラーナ村東部に位置する古塔にて、異常なエネルギー波を観測した。皆には、この調査にあたってもらいたい」
そう言って、バッゾが何やらレイニスを見て頷くと、レイニスは丸められた紙を取り出し、机に広げた。少し茶色みがかったそれは、ベラーナ村近郊の地図であった。
「皆さんもご存知かと思いますが、ベラーナ村の東部には、古代人の建造物である古塔があります」
まず初めに、地図上のベラーナ村を指差し、続いて指を東へずらし、古塔のある位置を指差した。竜車でおよそ四半月、といったところだろうか。
「先日、およそ一年ぶりに古塔を取り巻く嵐が晴れたのですが……その際に、古塔内部から特殊なエネルギー波が観測されました」
「希少種か?」
「それはまだ分かりません。十年前に姿を消した金火竜か……あるいは、全く別の何かなのか」
ドルフが質問すると、レイニスは首を横に振った。まだ、対象が何であるかまでの把握はできていないらしい。
ただ、どうやら、その原因が『モンスター』だという確信はあるようだ。戦闘は避けられない。
「観測班では、このエネルギー波の原因を『アンノウン』と呼称しています。皆さんへの依頼は、アンノウンの調査と、可能であれば、これの討伐です」
淡々と告げるレイニスの言葉に、ごくりと、唾を飲む音が聞こえた。
この男は、随分と簡単にものを言う。可能であれば討伐しろ、と。十年前、金火竜と相対したハンター達がどうなったのか、知らぬわけでもないだろうに。
思わず、苦言を呈しそうになるドルフ。実際、言葉は喉元まで出ていた。しかし、彼よりも先に、他の誰かが声をあげ
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