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魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
最終章:無限の可能性
第284話「集いし“意志”」
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その前に、葵が遮った。
 おかげで帝は何とか冷静を取り戻す。

「ええ。同時に、私は自分で何もかも責任を取ろうとしていた事も自覚したわ」

「じゃあ……」

「私と優輝だけで……ユウキ・デュナミスだけで戦わない。貴女達と共に戦うわ。……だから、そんな悩まなくてもいいのよ、帝」

 困ったように笑みを浮かべながら、優奈は帝に言う。
 葵と神夜の視線が帝に集まり、帝は気まずそうに視線を逸らした。

「力を合わせれば、もっと“可能性”が見れる。……そのためにも、貴女達を絶対にこの先へ届けるわ」

「―――待って。話が切り替わったのはいいけど、ここに残るつもり?」

 理力を構えだした優奈を、葵が慌てて止める。

「それが最も確実だもの。最善の“可能性”に“導く”。それが出来るのはこの中では私だけだから。それに、この壁に対して相性もいいからね」

「だからって―――」

 葵の言葉を遮るように、“闇”が迸る。
 だが、帝がそれを片手で弾き、優奈に詰め寄った。

「ッ、そんな自己犠牲、認められるかよ!!そんなの、そんなのやられる側はちっとも嬉しくねぇんだよ!」

「帝……」

 好きだからこそ、帝は許せなかった。
 思い返せば、優輝と一つだった頃から、なんでも一人で背負っていた。
 それを、帝は止めたくて、優奈の肩を掴んだ。

「馬鹿ね」

 対する優奈の返答は、呆れたようなデコピンだった。

「自己犠牲になんて、ならないわよ。それに、後から他の皆も来るわ。私は自己犠牲のために残るんじゃなくて、皆の道を示すために残るの」

「………」

「犠牲を出さないための適材適所、という訳よ」

「……そうか」

 そう言って笑う優奈に、儚さなどはなかった。
 それを見て、帝も自己犠牲のつもりではないと納得できた。

「なら、ここは任せるぞ」

「ええ。任せなさい」

 自動迎撃の“闇”が理力に弾かれる。
 優奈が構えた理力ががドーム状に広がり、直後に収縮していく。

「合図を出したら飛び込みなさい」

 そう指示を出し、集束した理力が“切り替わる”。
 プラズマを迸らせ、金色を内包した白い光球となる。

「ッッ!!」

   ―――“可能性の導き(フュールング・デュナミス)

 一筋の閃光が、“闇”の壁に穴を開ける。
 さらに貫通した閃光は膨れ上がり、穴を広げた状態で固定した。

「今よ!」

 優奈が理力をコントロールする事で、開けた穴の修復を阻止し続ける。
 その間に、葵達を先に進めるつもりなのだ。

「行くよ!」

「っ、おう!」

 葵が率先して穴を通り、神夜がそれに続く。
 帝もそれに続き、一度優奈を振り返る。

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