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モンスターハンター 隻腕のドルフ
第一話 岩竜
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去りにした剣目掛けて。


 タイミングは恐ろしく正確だった。男が剣を手に取るのと、毒ガスが霧散して消えるのはほぼ同時で、男はそのまま剣を引き抜くと、隙だらけのバサルモスの腹部に向け、剣を突き出した。


 彼の感覚では、もう間もなく。


 突き出された剣は、腹部外殻の最も傷が深いところを捉え、激しい音を響かせながら突いた。少しの抵抗と、そして、何かが壊れるような感触。これまでの戦闘でダメージを蓄積させたバサルモスの腹部外殻は、その一撃で、砕けるように剥がれ落ちたのだ。

 男は手を止めない。そのままとどめを刺そうと、突き出した剣に力を込める。雄叫びをあげることもなく、目を見開くこともなく、ただただ冷静に、冷徹に、剥き出しになった筋肉に向け、剣を突き出したのだ。



??そして。



……グオォォォオォ……



 岩竜の力無き咆哮が、火山内に響き渡った。男が剣を引き抜くと、支えを失ったバサルモスの体躯は横倒しになって、土煙をあげ、そして動かなくなった。

 男は、大剣に付着した血を落とすため、その場で一度、大きく素振りをすると、それを背負い直しながらぼそりと呟いた。



『暑い』



 人を簡単に殺せるほどの力を持ったモンスターと、先程まで戦っていたとは思えないほど落ち着いた声で。

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