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レーヴァティン
第百九十四話 江戸の街と城その五

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「まだな」
「地震ね」
「嫌なものだな」
「好きな奴はいないよ」
 桜子は忌々し気な声で答えた。
「あんなものはね」
「戦争より厄介だな」
「本当にね」
「俺は災害の中で地震が一番嫌いだ」
「あんなに何もかも壊れるものはないからね」
「戦争は政で避けられる」 
 それが可能だというのだ。
「しかしだ」
「地震はそうはいかないね」
「火事は防火対策、水害は治水で対応が出来るが」
「地震はね」
「中々だ」
 これがというのだ。
「震災対策の建てものもこの浮島での技術ではな」
「出来ないしね」
「強い揺れで倒れる」
 そうなってしまうというのだ。
「どうしてもな」
「そうなのよね」
 桜子もその通りだと頷いた。
「これが」
「そして犠牲者もな」
「出るのよね」
「火を使っていれば火事にもなる」 
 関東大震災の様にだ、この震災は丁度昼飯時に起こり大火事にもなったことが余計に被害を大きくしてしまった。
「そして家だけでなくあらゆるものがな」
「壊れるわね」
「下手に戦になるよりな」
「大きな地震は厄介ね」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「俺は地震がだ」
「一番怖いのね」
「治にあたったな」
「そしてその地震がないだけ」
「この浮島はいい、そして江戸もな」
 この街もというのだ。
「火事と水害は問題でもな」
「地震と台風がないから」
「まだましだ、雷もあるが」
 この災害もというのだ。
「本当に地震と台風はな」
「この二つがないだけでね」
「助かる」
「そうでありますね、浮島には地層と地層が当たる場所がないので」
「それで地震が起こらないな」
「その様でありますね」
「そうだな、そして台風が来る高さでもな」
「ないであります」
 この浮島は雲の上にある、そして浮島の上にまた雲があるのだ。台風が来る様な高さではないというのだ。
「それで、であります」
「台風も来ない」
「だからであります」
「その心配もないな」
「そうであります」
「そうだな」
「ないには理由があるであります」
「しっかりとな、ではな」
「それで、でありますな」
「そうしたことも頭に入れてな」
 そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「治めていき」
「武蔵もな」
 この国もというのだ。
「そうしていく」
「それでは」
 峰夫も頷いた、そうしてだった。
 英雄達は江戸に入った、そのうえで江戸城で城主でもある領主そして彼の息子達とも会って彼等に自分の考えを告げた。
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