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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
踏み込んだアタシは、ボクになる
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すねー。チャレンジャー2人の顔にも焦りの色が見えてきています。もう犯されるのは時間の問題。待たせたな視聴者!」
「ちっ…。」
上からうるさい声が集中力を削ぐ。
殺してやりたい。
殺してやりたいが、このままでは殺されるのはあたし達だ。
「くっ…!!」
迫る土蜘蛛を蹴飛ばす。
だが
「…!」
「なっ…!」
咄嗟に前に出した鎌にそれは阻まれ、大きな隙を晒すことになる。
そのまま片足を絡め取られ、あたしは振り回されると
「葵さん!!!」
投げ飛ばされ、そのまま壁に激突した。
「あ…が、はぁっ!?」
土蜘蛛の凄まじい力で背中と後頭部に鈍い痛みが走る。
さらに後頭部という守るべき大事な部分を強打したせいだろう。
「ダメ…だ。」
意識が薄れてきた。
脳を揺さぶられ、立ち上がることはおろかこうして意識を保つ事すら困難になる。
「起きて…戦わ…ないと…!」
手を伸ばす。
こちらを心配しながらイリヤちゃんは土蜘蛛達を撃退しつつ、あたしに何かを呼びかけている。
だが分からない。なんて言ってる?
だめだ、どんどん声が遠くなっていく。
これじゃ…イリヤちゃんを守れない。
あのムカつくテイマーとかいう配信者を…
【ぶっ殺せない?】
…?
【あーあ、見てるだけで退屈だったんだ、アタシ。お前がぶっ殺さなくても、アタシがあいつをぶっ殺す。】
お前…お前は…!
【根性の無いお前は心の奥底でのびてなよ。バトンタッチだ。アタシがケリをつけてやる。】
…!!!
?
「葵さん!!!葵さん!!!」
『イリヤさん前!前見てください!!』
土蜘蛛に投げ飛ばされ、気絶した葵。
動かなくなった獲物に襲いかかろうと土蜘蛛達は葵に群がろうとするがイリヤはそれを全力で阻止している。
ニンマリとした悪意に満ちた笑みを浮かべたようにも見える土蜘蛛達。
怖くてたまらないが、ここで逃げてしまってはいけない。
「ルビー!何かないの!?」
『あることにはありますが宝具をブッパするのにはマスターの支援がないと出来ません。それに今のイリヤさんでの魔力量では…!!』
「お願いなんとかして!!じゃないと葵さんが!!」
宝具や強力な広範囲魔術で土蜘蛛を一掃する。
そう出来ればカンタンだが今のイリヤにそう魔力は残されていなかった。
「ここで1人がリタイヤだ!さぁ残りのサーヴァントはどうする!?生き残るか!?死ぬか!?それとも1人を囮に逃げるか!?」
「そんなこと…しない!!」
「へぇ…健気な嬢ちゃんだ。いいのかい?逃げる以外に残されてんのはここで魔力が尽きて土蜘蛛達に犯されるって道だけだぜ?」
「…!!」
しかしイリヤは逃げない。
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