第二章
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「お店に貢献してくれているからね」
「だからですか」
「うん、それならね」
「そうですか」
「お客さんからも評判いいし」
いい店員としてだ、もっと言えばそのルックスも評判だ。
「だからね」
「それで、ですか」
「本音を言えばうちの売り上げに貢献して欲しいけれど」
店長は店の責任者としてのそれも言うことは言った。
「それでもね」
「いいですか」
「僕もそこまで言わないから」
こう言うのだった、三十になったばかりでまだまだ若さが見えるその顔で。背は一七二位でひょろっとしたスタイルだ。
「本は買ってくれるし」
「雑誌とか」
「そういうのは買ってくれるしね」
食品等コンビニでは高めのものは買わないがというのだ。
「だからね」
「そうですか」
「それで本はこっちで買うのは」
「値段変わらないですから」
あず未はあっさりとした口調で答えた。
「本屋さんでも」
「本は何処でも値段変わらないからね」
「はい、ただ」
「ただ?」
「自衛隊の基地の中のお店ですと」
これをPXという。
「普通のお店よりもです」
「安いんだ」
「本もです」
価格が変わらない筈のそれもというのだ。
「安いそうです」
「そうなんだね」
「全商品一割だとか」
「その一割は大きいね」
「そうらしいです、ただ私は自衛隊は嫌いではないですが」
それでもというのだ。
「入隊は考えていないです」
「厳しいからかな」
「それもありますがそこまで体力に自信がないですから」
自衛隊で働けるまでにはというのだ。
「ですから」
「それでなんだ」
「考えていないですが」
「ものが安く買えることはなんだ」
「知っています、あと大学の本屋さんでも」
そこでもというのだ。
「定価よりもです」
「ああ、僕の通っていた大学でもね」
店長もこの話は知っていて頷いた。
「しっかりとね」
「一割ですね」
「本は安くなっていたよ」
「学ぶ為のサービスですね」
「学生や先生がね」
「そうですね」
「うん、しかしあず未ちゃんよく知ってるね」
今度は感心する言葉で言った。
「こうしたことまで」
「お金のことですから」
あず未はすぐに答えた。
「ですから」
「やっぱりお金なんだ」
「お金がないと」
そうならとだ、あず未は真剣な声で答えた。
「何かあった時に」
「困るからなんだ」
「そうですから」
「それはそうだけれど」
それでもとだ、店長はあず未に言った。
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