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王道を走れば:幻想にて
第四章、その3の2:天運重なり
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剣が鈍く煌く。

「ち、違うんです、棟梁!!俺は決してそんな心算じゃっーーー」
「無駄飯ぐらいは殺すべきだ。そうだろう?」
「ま、待てよ、おいーーー」

 逃げようとする男の背中を、立ち上がった棟梁は何の躊躇い無く剣で刻んだ。鮮血が吹いて慧卓のロープと床を汚し、男はどっさりと床に倒れこんだ。涙を流して痛みに悶える男の背中を、棟梁が殺意と共に踏みつける。

「さてとだ、侵入者の若造」
「げぁっ!」

 男の頸に真上から剣を突き刺し、その息の根を止める。目前ではっきりと見る殺人に慧卓は眉を顰めたて視線を逸らす。棟梁が無理矢理に引き抜いた剣は更に欠けているようであり、ほとんど使い物にならないであろうが、まだまだ血肉を斬れるのも事実である。 
 棟梁は重ねて言う。

「何が目的でここに入ってきたんだ?」
「・・・そんなの大体予想がつくだろう?あんたらが攫った村人を救出しに来たんだ」
「ふん、これだから人間というのは馬鹿正直だから困る。匪賊に攫われた奴など、無事な奴は一人もいないぞ。女であれ、子供であれ」

 棟梁はそう言っ水差しから直接水を飲んでいき、喉を潤す。

「あのリコという餓鬼は見た目からして食欲をそそるものだ。奴の仲間を食っていく一方で、奴だけには食事を与え続けた。おかげで身体は健康で、精神は病んでいく。今から食うには最高の状態だよ」
「食うって?」
「そのままの意味だ。俺と趣味を共有する奴がここには多くてな、あれだけ攫ったのに、もう奴以外は残っていないのだ。残念で仕方ならん」
「・・・食人ねぇ?さっすがエルフ、大したご趣味ですこと」
「俺達は外れ者の集まりだ。エルフのみならず、クウィス領の連中にもそれなりに知られているのだがな。それを知らないとは貴様、この土地のものではないな?」

 棟梁は慧卓に近寄ってその肩を掴み、寝台へと投げ飛ばす。慌てて受身を取る彼の足を棟梁は握り、グリーヴの踵の部分に刻まれた文様を睨んだ。

「百合の紋章・・・忌まわしき王国の者か。という事は、貴様は王国の犬だな?」
「・・・思った以上に嫌われているんだな、今の王国って」
「はっ!矢張り外の者か!それもかなりの無知ときたか。・・・死ぬ前に少しくらい知識を分けてやってもいいぞ、下郎。教えを乞うて見せろ」
「どうぞ、その知識を私にお教えいただけませんか、エルフ殿?」

 皮肉たっぷりな言い方を言う慧卓。途端に男の鉄拳が慧卓の頬を殴り抜けた。

「・・・減らず口な言い方が気に入らんが、まぁよしとしよう」

 手の甲に血を吐きながら慧卓は周囲を窺う。彼が仕える武具は無いか、棟梁に悟られぬように視線を巡らす。

(武器は・・・駄目だな。あれは持てない)

 唯一目に付いた獲物は武器棚に置かれた、棟梁の本来の獲
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