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ソードアートオンライン アスカとキリカの物語
アインクラッド編
血盟騎士団の誕生
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員をバランスよく強化したら、必然的にそうなってしまうものなのだ。
それでも普通の戦闘なら大人数のスイッチでカバーしたら良いのだが、ボス攻略だと戦線が崩壊したときに一番死ぬ危険性が高いことは事実だ。
重武装で盾役を買って出ているプレイヤーは筋力値にほぼ極振りするのが基本なので、走って逃亡するのが難しい。
転移結晶を使えばその限りではないが、便利なアイテムも万能ではなく、コマンド発声中に攻撃を受けたら転移がキャンセルされてしまう。
第25層のボスの猛攻は、受け止めながら逃げ出すことすら許さなかったのだ。
それでも生き残ったメンバーだけで攻略組に残る意志を示している〈ドラゴンナイツ〉には賞賛の言葉を贈りたいが、〈悪の黒ビーター〉ことキリトから貰ってもリンドはこれっぽちも嬉しくないだろう。

「じゃあ、ボス攻略会議を始めさせて貰うよ」

リンドがそう言って会議を始めようとするが、場の空気が陰鬱としたものであることはいかんともし難い。



その時だった。

ドアが勢いよく開けられる。
全員の目がリンドからそちらへと移る。
視線をそちらに向けたキリトやクラインだけでなく、エギルさえも目を丸くしている。
突如攻略会議へと突入してきたプレイヤーの先頭に立っていたのはアスカだった。

別にアスカが酒場に入ってきただけならそこまで驚くこともないだろう。攻略にいつも参加しているアスカが珍しく遅刻した、というくらいだ。
全員が唖然としている理由はアスカの装備、つまり服装だ。

今までの地味めで明度の低い色中心で揃えていたものが、180度入れ替わったように全身真っ白。
各所に光り輝く銀色の金属プレートが取り付けられており、一級の細工職人に頼んだのであろう赤色のラインでの装飾が映えている。
アスカ以外のプレイヤーも似たような装備だが、アスカだけ別格の存在感を放っている。

登場してきたメンバー全員の装備が似通っていることから、その装備がギルドで統一された装備であることは一目瞭然だ。
ギルド内で制服を作ることは別に不思議なことではない。
〈軍〉や、今目の前にいる〈ドラゴンナイツ〉もギルド内で統一された装備を付けている。
故に何も問題はない・・・・はずなのだが・・・・。

誰も何も言えない状態の中を15人近くのプレイヤーが入ってくる。
そこには、アスカだけでなく、攻略組として活動していたソロプレイヤーや、ヒースクリフの姿もある。
全員が酒場にはいると、彼らは綺麗に横一列に並んだ。

その中央からアスカが一歩前に出て、

「俺たち〈血盟騎士団〉もボス攻略に参加する。いいか?」

とよく通る声を響かせた。



誰からも否定の言葉は出なかった。




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