暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンラインーツインズー
SAO編−白百合の刃−
SAO25-銀の妖精
[3/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
セツが家に持ち帰ったりしたり、手で触ったり抱きついたりすれば、ハラスメント警告の窓が開き、不快な衝撃と共に吹き飛ばされてしまう仕様になっている。ドウセツはそれがなかった。そして何らかのクエスト開始のイベントもなかった。そうなるとやっぱりドウセツが拾ってきた銀髪少女はプレイヤーになってしまうのだろう。そして単独で家の前に倒れたか、親と離れてしまって家の前に倒れとか考えるしかない。
 可能性としては…………親と離れてしまったのが一番かな?

「茅場晶彦がなんらかおかしくなったとなれば、いろいろと問題を起こしてもおかしくはないわ」
「けど、それってどっちにしろ理解不能と同じじゃん……」

 これが茅場晶彦のデスゲーム化によるSAOの使用変更だったとしたら、ヒントぐらいは欲しいものね。

「……そう言えば、兄が南岸の主街区、『コラル村』の近くにある森で、デジタルの世界で少女の幽霊が出る噂を聞いたのだけど、それと関係あったりして」

 ふと思い出したことをドウセツに訊ねると、冷静に返答をもらった。

「デジタルの世界で幽霊なんか出ないわよ。幽霊だったとしても、モンスターか見間違いじゃないの?」
「……そうだよね」
 
 普通に考えればそうなんだろうな。現実世界にも幽霊が本当にいるかどうかも怪しいしね。
 なにも解決しないなと思いつつ、ふと銀髪少女を見た時、消えそうな声を漏らしていたことに私は気がついた。

「ど、ドウセツ! 起きるよ!」
「静かにしなさい」
「すみませんでした……」

 素で注意されてしまい反省しつつ、銀髪少女を見つめると、まつ毛がかすかに震え、ゆっくりとまぶたを開けた。

「……ん……う……」

 宝石のような翡翠色の瞳を数度瞬きしては、銀髪少女の声は儚くて癒される鈴の音色のような響きだった。
 可愛い。

「……だ……れ?」

 銀髪少女は上体を起こして、キョロキョロとゆっくり周りを見始める。
 発した声が可愛いくて、思わずぬいぐるみのように抱きしめたかったが、察したドウセツの目が鷹のように鋭かった気がしたので、自分が彼女になにをするべきかを優先する。当たり前の話だけど、可愛いのは間違いなく本当の気持ちであり、感情に流されるところだった。

「えっと、私はキリカって言うんだけど」
「きりか……?」
「うん。あのね、自分がどうなったかわかるかな?」
「ん……わかない……」

 銀髪少女は首を傾げる。わかんないならしょうがないよね〜。

「それじゃあ、君の名前は?」
「わたしの……?」
「そうだよ」

 銀髪少女は一度ゆっくりと頷いて、

「……すず、な。わたしの……なまえは……スズナ」

 思い出すかのように、自分の名前を口にした。

「スズナちゃん
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ