SAO編−白百合の刃−
SAO25-銀の妖精
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セツが家に持ち帰ったりしたり、手で触ったり抱きついたりすれば、ハラスメント警告の窓が開き、不快な衝撃と共に吹き飛ばされてしまう仕様になっている。ドウセツはそれがなかった。そして何らかのクエスト開始のイベントもなかった。そうなるとやっぱりドウセツが拾ってきた銀髪少女はプレイヤーになってしまうのだろう。そして単独で家の前に倒れたか、親と離れてしまって家の前に倒れとか考えるしかない。
可能性としては…………親と離れてしまったのが一番かな?
「茅場晶彦がなんらかおかしくなったとなれば、いろいろと問題を起こしてもおかしくはないわ」
「けど、それってどっちにしろ理解不能と同じじゃん……」
これが茅場晶彦のデスゲーム化によるSAOの使用変更だったとしたら、ヒントぐらいは欲しいものね。
「……そう言えば、兄が南岸の主街区、『コラル村』の近くにある森で、デジタルの世界で少女の幽霊が出る噂を聞いたのだけど、それと関係あったりして」
ふと思い出したことをドウセツに訊ねると、冷静に返答をもらった。
「デジタルの世界で幽霊なんか出ないわよ。幽霊だったとしても、モンスターか見間違いじゃないの?」
「……そうだよね」
普通に考えればそうなんだろうな。現実世界にも幽霊が本当にいるかどうかも怪しいしね。
なにも解決しないなと思いつつ、ふと銀髪少女を見た時、消えそうな声を漏らしていたことに私は気がついた。
「ど、ドウセツ! 起きるよ!」
「静かにしなさい」
「すみませんでした……」
素で注意されてしまい反省しつつ、銀髪少女を見つめると、まつ毛がかすかに震え、ゆっくりとまぶたを開けた。
「……ん……う……」
宝石のような翡翠色の瞳を数度瞬きしては、銀髪少女の声は儚くて癒される鈴の音色のような響きだった。
可愛い。
「……だ……れ?」
銀髪少女は上体を起こして、キョロキョロとゆっくり周りを見始める。
発した声が可愛いくて、思わずぬいぐるみのように抱きしめたかったが、察したドウセツの目が鷹のように鋭かった気がしたので、自分が彼女になにをするべきかを優先する。当たり前の話だけど、可愛いのは間違いなく本当の気持ちであり、感情に流されるところだった。
「えっと、私はキリカって言うんだけど」
「きりか……?」
「うん。あのね、自分がどうなったかわかるかな?」
「ん……わかない……」
銀髪少女は首を傾げる。わかんないならしょうがないよね〜。
「それじゃあ、君の名前は?」
「わたしの……?」
「そうだよ」
銀髪少女は一度ゆっくりと頷いて、
「……すず、な。わたしの……なまえは……スズナ」
思い出すかのように、自分の名前を口にした。
「スズナちゃん
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