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幻の月は空に輝く
日向宅訪問・2
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、腕は重力に逆らう事なく落ちた状態。
 そして、この気配はネジ。
 私の突然の行動に驚いているのか。それとも私が言った言葉の意味とヒアシの力ない状態に驚いているのか。恐らく両方だけど、やはりネジのその疑問について私は答えようがなかった。
 だから、というわけじゃないけど、私は歩きながらネジを見つめ、そしてそのまま横を通り過ぎようとした……んだけど、すれ違う瞬間にガシィっと手首を掴まれる。
 んん??

「ネジ?」

 これからヒアシから父親に関しての情報を得るんだよね。それは私の話しを聞いてたらわかると思うんだけど、ネジは私の方を見ないまま私の身体を引きずるようにしてヒアシへと近付いていく。
 離れたはずの距離が、段々と縮まっていく。
 ネジも私も口を開く事無く、ヒアシの前へと立つ。私の場合はネジに引き摺られるように近付いた所為か、背中を向けてるんだけどどうやらそれは問題にはならないらしい。
 隣のネジからはひんやりとした空気が流れてくるし、背中のヒアシからは戸惑いの空気が流れてくるわで感じる圧迫感が半端じゃない。というか、いつまで手首を掴まれてるんだろう。



「ネジ」

「……」

「聞いてくれるか?」

「……」

「あの時の事を。弟の残した言葉を……」

「………」


 ……さっきからネジの爪が食い込んでる。一生懸命感情を押さえ込むネジは痛々しいけど、ここで口を出すような真似は流石に出来ない。
 

「あの時、要求を呑んで死ぬ覚悟をした」

「………」

「だが、その時にヒザシの名があがった」

「………」


 更に、ネジの手に力が篭った。
 掴まれている手首に痛みが走るけど、私は口を噤んだまま二人の会話に耳を傾けていた。私が無言で堪えている間も、話しはどんどんと進んでいく。私にとっては知識として元々知っていた事。
 ネジにとっては初めて聞く事実。
 でも、信じられないのか無言のままヒアシを睨みつけてる。
 やっぱり私の右手首はネジに掴まれたままだったけど、その瞬間再び引っ張られ屋敷の奥の方へと進んでいく。足が縺れそうになりながらもネジの後についていったけど、その時見えたヒアシの表情はなんとも言えないものだった。

 無言の私と、無言のネジ。

 多分ネジの部屋だと思うけど、そこに引き摺られるようにして入った後に座布団の上に座らせられた。
 とりあえずネジの行動を見守ってたんだけど、口を閉じたままネジは部屋を出て行ってしまう。

「(……うーむ…)」

 器用に私の肩に止まっていた天華だったけど、ネジが出て行った方向をジッと見つめた後、私の頬に顔を摺り寄せてきた。

《傷はどうなっている?》

 私にだけ聞こえる声で語りかけてくる天
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