暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
最終章:無限の可能性
第282話「決定的な差」
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倒すための一歩がかなり遠い。

「そこッ!!」

「甘い!」

「う、おッ!?」

 葵の繰り出すレイピアがギリギリで当たらない。
 そのまま反撃がきっちりと決まり、葵は吹き飛ばされる。
 神夜も攻防戦で競り勝てずに吹き飛ばされていた。

「くっ……!」

「ッ……!」

 唯一、優奈だけは反撃が直撃せずに戦えていた。
 同じ“性質”故に、何をしてくるか大体がわかるからだ。

「五人だろうと、二人だろうと関係ない……本当に、同じ“性質”ながら厄介ね」

 自由自在に変形できる理力の弾を二つ携え、“天使”二人は戦う。
 優奈も同じように理力の弾を周囲に漂わせているが、やはり手数に差がある。

「(でも、飽くまでしぶといだけ。根気よく詰めていけば……)」

 同じ“性質”だからこそ、確実に追い詰める事が出来る。
 本来ならば、如何なる状況においても“可能性”を掴む“性質”だ。
 そのため、どれだけ追い詰めても逆転される“可能性”がある。
 しかし、同じ“性質”の優奈がいる事で、相手の“性質”を中和出来る。
 そのおかげで、追い詰めれば追い詰めるだけ、相手の“詰み”に近づける。

「(だからこそ、堅実に追い詰める……!)」

 なかなか倒せなくても、堅実さを損なわなければ負ける戦いではない。
 まだ逆転される“可能性”はあるが、それも追い詰めればなくなっていく。

「ッッ!!」

 優奈への理力の斬撃や弾幕を、全て捌く。
 手数の差があれど、それを導王流で埋める事で対処していた。
 さらにカウンターの掌底を二人の“天使”に放つが、これは躱される。

「………」

 避けた“天使”達に、レイピアと砲撃魔法が飛ぶ。
 しかし、どちらの攻撃もギリギリで外れてしまう。

「『普通の攻撃は外れるわ。そういう“可能性”に定められてるもの』」

「『やっぱり……通りで当てられない訳だね』」

「『遠距離攻撃はほぼ無意味か……?』」

 葵と神夜は基本的に援護する立ち回りだ。
 神夜は元より、葵も消耗が大きいため前衛で立ち回れない。
 今は優奈がメインで戦っているが、それ故に一歩追い詰めきれない。
 そして、“可能性の性質”が相手だからこそ、“賭け”に出れない。

「(……って所かしらね……)」

 優奈はそれを理解している。
 そのため、決して焦らず、堅実な態勢を崩さない。
 
「(問題は……)」

 だが、葵と神夜は別だ。
 相手がそのつもりだという事は優奈も伝えている。
 だからと言って、焦らずにいられる保証はない。
 神の半身である優奈と、葵たちではその辺りの感性は違うからだ。

「(なるべく早く仕留めたい所だけど……ねっ!)」

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