第二章
[8]前話
見えなくなった、そこまで見てスタッフの者達は話した。
「恩義に感じていたのかな」
「俺達が助けたって」
「そのことがわかって」
「それでかな」
「あの、博士」
男は学者に尋ねた。
「まさかと思いますが」
「そのまさかだと思います」
学者は男に答えた。
「これは」
「そうですか」
「はい、私達が命を助けたことをです」
まさにこのことをというのだ。
「理解していてです」
「そうしてですか」
「二度です」
「僕達の方を振り向いたんですね」
「有り難う、そして」
「さようならですね」
「その二つの気持ちをです」
それをというのだ。
「振り向くことによってです」
「見せてくれたんですね」
「そうです、人間にも感情があって」
「ペンギンにもですね」
「あるので」
「だからですね」
「感謝も感じます」
「そうなんですね」
「はい、それであの子はもうです」
マイノス、彼はというと。
「彼の本来の場所に戻りました」
「自然の中にですね」
「ですから後は」
「彼が達者で暮らすことをですね」
「願いましょう」
「わかりました」
男は学者の言葉に素直に頷いた。
「それでは」
「はい、これからも」
「生きものを助けて」
「環境を守っていきましょう」
「そうしないと駄目ですね、それじゃあ今手当をしている子達を」
「大事にしていきましょう」
「そしてどの子も自然に戻して」
傷が完治したならというのだ。
「達者で暮らしてもらいましょう」
「これからも」
二人で話した、そして他のスタッフも頷き合った。そうしてだった。
マイノスを見送った彼等は今保護している生きもの達の手当てに戻った、彼等のすべきことをする為にそうした。そこには確かなものがあった。
ペンギンの別れの挨拶 完
2021・2・24
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