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SAO−−鼠と鴉と撫子と
18,剣(つるぎ)で語れよ
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ようとした瞬間、クラインさんが声を絞り出した。
不思議と風がやみ、その声はここにいる四人の間に広がる。

次いで響く地を蹴る足音。高音の風切り音。

どちらも、一方的にクラインさんが出した開戦の音だ。

本能的にキリトさんが躱した。数本の黒い髪が切り取られ、宙を舞う。次の瞬間には、光へと融けた。
流石に斬られるのは御免なのだろう。右に左に体を振って躱していく。
距離を取ろうと、キリトさんが真後ろに跳んだ。同時にクラインさんの太刀が朱に染まる。

右手に持った刀の柄を前方、刀身を後ろに構え、中腰を保ちながらも体が前方へと大きく傾いている。
この構えは知っている。カタナ基本突進スキル《一閃》。
範囲は一直線ながら――そのリーチは極めて長い。

「ォォオオオオ」
クラインさんが地を蹴る。走るよりも飛ぶの方が近いストライドで、水平に構えた刀が距離を零にする。

「グゥ」
しかし、その太刀はキリトさんには届かない。
すんでのところで漆黒の片手剣がそれを防いでいた。

「クライン、オマエ……」
しかし、その抗議の声は続かない。クラインさんが鍔迫り合いを筋力値で押し切ったことで再度、防戦になっているからだ。
キリトさんは幾多もの剣を自分の剣ではじき返し、距離を取る。

両者が距離を取り、デュエルの中で始めて間が生まれる。
キリトよう、クラインさんが声をかけ、切っ先を一直線に顔へと向けた。

「刀で語れよ!!ここはそういう世界だろ」
「ッ!!」

クラインさんが再び前に出る。
だが、その剣は先ほどの通りとはいかない。

ガキィィン

2つの剣が交差し、大きな火花を散らす。
始めて剣を振るったキリトは少し少し、その手数を増やしていく。
衝突が2つ・3つと増えていき、二人の間に大輪の花が咲いた。

「フゥゥ、これでだいじょーぶそうだナぁ」
隣から声が聞こえた。見れば、疲れたとばかりにアルゴさんがゆったりと腰を下ろしている。
私もそれに倣って、少し離れたところに座った。

「いやあ、ヤー嬢がキー坊に味方したときはどーしようかと思ったけど、作戦成功」
「作……戦?」

無言で伸びてくる手に、これまた無言で500コルを置く。
マイド、とフードの中から笑い声が聞こえた。

「クー助プレゼンツ。クー助とキー坊の仲直り大作戦」

なるほど、と私は思わずうなずいてしまった。

対戦相手でアルゴさんが頑なだったのも私を挑発して戦ったのも、どうしてもキリトさんとクラインさんをぶつけたかったから。
私がキリトさんに説得されている間、いやきっと今日の朝からクラインさんは今回のチャンスを狙っていたわけなのだ。



ヤー嬢、色々とごめんナ。と軽い感じで声がかかる。何が、とはあえて聞く
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