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リュカ伝の外伝
天使とラブソングを……?(第12幕)
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言わせたんだ」
「凄い……更に40%オフ!」

もう殆ど無料(ただ)同然じゃない!
凄まじい値切り術に、アイリーンも驚きの一言を放った。
このエピソードの何所に愚痴る要素が含まれるのだろうか?

「そう、更に40%オフ。 ……って事はだよ、その前に上から目線で『ワシとお前の仲という事で』って言って500(ゴールド)だった価格は、素直に事情を話した我々から200(ゴールド)もぼったくろうとしてたって事じゃん? も〜信じらんないね! この300(ゴールド)だって盛ってる可能性がある!」

いやいやいや!
流石に、使用できるレベルのアップライトピアノが300(ゴールド)ってのは売り手側の赤字価格だと思うわ。

「だからさ、『即刻現金払いの19(ゴールド)じゃなきゃ買ってやらん!』っていったら『立場が逆だろう』とか訳分からない事言うし、更には『結婚式の費用はワシ持ちだぞ』とか『天空の盾の件だって在るだろ』とか今更身勝手な事を言ってくるし、遂には『リュカ……流石に無理があるぞ』って味方だと思ってたHH(ヘッポコ・ヘンリー)が寝返るし、だから傍にあったこのバイオリンを手にして『コレをおまけに付けろ』って言って二人ともぶん殴ったんだ」
ぶん殴る必要性!?

「そ、それでバイオリンを入手されたんですね?」
カオスな事情説明を終わらせようと、話題をバイオリンへ移そうと試みる。
「うん。小一時間の口論と暴行の末にね」
結局カオス説明は続いた。

「陛下からぼったくろうとするから悪いんですわ! 良い教訓になったと思います」
イカン……このカオス説明をカオスと思ってない女がここに一人居た。
断言しよう……この女は、あっちの世界の住人だ。

「うん。そういう訳でバイオリンも手に入ったから、勝手に使って良いからね」
そう言うと陛下は、またバイオリンを構えて今朝芸高校(芸術高等学校)から入手してきたテキストに視線を降ろして奏だ。

先刻(さっき)も思ったが、まだ拙い感じがする。
今奏でてる曲は、芸高校(芸術高等学校)の音楽科で最初に習う基礎中の基礎を盛り込んだ楽曲だ。

曲は“アッチャー・ウヌヴォーレン”と言う名前の作曲者で、曲名は“歩く人”と言う曲だ。
本当にコード進行とか何から何まで基本しか使用してない曲で、慣れてアレンジを加えようとしてもパッとしない曲である。

この作曲者の他の曲も探した事はあるのだが、見つける事は出来ず……
凡曲しか作れないのだろうと推測される。
あまりにも凡曲すぎて、陛下が奏でてもパッとしないであろう。

「陛下……ちょっとお借りしても良いですか?」
「あぁ……うん、どうぞ。自由に使って」
陛下の拙いバイオリン技術がもどかしく感じたのか、バイオリンを借り
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